育児の開始とともに、腱鞘炎の痛みに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。腱鞘炎を防ぐためには、抱っこや授乳のコツを理解し、指や手首を休めてあげる必要があります。
本記事では、育児中に生じる腱鞘炎の原因や腱鞘炎にならないコツについて解説します。また、育児中の腱鞘炎を防ぐための対策についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
育児中に生じる腱鞘炎の原因とは?
まず、育児中に生じる腱鞘炎の原因について解説します。
- 育児中の抱っこやおんぶの頻度が多い
- 筋肉量が少なく疲労が蓄積しやすい
- 産後で女性ホルモンが減少している
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
1.育児中の抱っこやおんぶの頻度が多い
育児中は、手首への負担が大きくなりがちです。とくに、赤ちゃんの世話をしている際には、抱っこや授乳、ミルクの準備、沐浴といった日常的な動作により手首を酷使します。
赤ちゃんの頭は想像以上に重く、寝かしつけの際に手首を多用することで、腱鞘炎のリスクが高まります。さらに、慣れない育児のなかで無意識に力を入れてしまうことが、手首の痛みや疲労を引き起こす原因となるケースも少なくありません。
2.筋肉量が少なく疲労が蓄積しやすい
手首は人体のなかでも筋肉量が少ない部位であり、そのために疲労が蓄積しやすく、腱鞘炎を引き起こすケースがよくあります。また、育児中は手首を酷使する頻度が多いため、この部位の負担が増えやすく、腱鞘炎のリスクが高くなりがちです。
とくに、手首だけでなく指にも負担がかかりやすく、赤ちゃんの頭を支える動作などで、親指を含む指全体にストレスが加わり、指の腱鞘炎(バネ指)が発症しやすくなります。
3.産後で女性ホルモンが減少している
産後の女性は、ホルモンバランスの変化により身体にさまざまな影響が現れます。とくに、エストロゲンの減少により、腱鞘炎のリスクが高まるリスクが指摘されています。
エストロゲンには、腱や筋肉の炎症を抑える効果があり、産後にその作用が弱まってしまい、炎症が発生しやすいのです。また、プロゲステロンの影響で関節が不安定になり、抱っこや家事の際に負荷がかかりやすくなるのも、腱鞘炎の一因となっています。
育児中に腱鞘炎にならないコツ
次に、育児中に腱鞘炎にならないコツについて解説します。
- 抱っこの場合
- 授乳の場合
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
1.抱っこの場合
赤ちゃんを抱っこする際は、できるだけ自然な姿勢を心がけましょう。赤ちゃんの背中が少し丸まるようにして抱くと、安心感が得られるとされています。
また、体全体を使って抱えるようにすれば、腕や手にかかる負担を減らせます。とくに、寝ている赤ちゃんを起こす際には、腰をしっかりと曲げて、赤ちゃんの体を自分に密着させるように持ち上げてください。
2.授乳の場合
授乳の際には、クッションで赤ちゃんを支えてあげると、腕や手首への負担が軽減できます。また、適切な高さにするために、タオルを重ねて調整する方法もおすすめです。
さらに、市販されている授乳専用のクッションを利用すれば、快適な授乳が実現します。自分に合った形やサイズを選び、日常的に使用すれば、母親の負担が減り、赤ちゃんもリラックスした姿勢で授乳を受けられます。
育児中の腱鞘炎を防ぐための対策は4つ
次に、育児中の腱鞘炎を防ぐための対策について解説します。
- 指や手首を休める
- サポーターを使用する
- 市販薬を利用する
- 女性ホルモンを整える
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
1.指や手首を休める
腱鞘炎は手指や手首を長時間にわたり使用するのが原因で、引き起こされるケースがあります。現代では、食洗器や掃除ロボット、乾燥機、ベビー用品の洗浄・除菌アイテム、スリングなど、家事や育児の負担を軽減するための便利な家電やツールが多数存在します。
これらを活用し、無理なく手指や手首を休める時間を確保するようにしてください。また、家事代行サービスの利用も効果的です。
なお、おすすめの家事代行サービスについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:【2023年最新版】おすすめの家事代行サービス15選|利用するメリットや選ぶ際のポイントもご紹介!
2.サポーターを使用する
手首の負担を軽減するためには、適切なサポーターの選択が欠かせません。とくに、マジックテープで調整できるタイプや、金属プレートが組み込まれている製品は、手首をしっかりと固定し、サポート力が高いのが特徴です。
薄手のサポーターよりも、しっかりと手首を支える製品を選ぶことで、手首の安定性が向上し、ケガの予防や痛みの軽減に役立ちます。
3.市販薬を利用する
腱鞘炎の軽い症状には、ストレッチと併せて市販の湿布や塗り薬、または内服の鎮痛薬を利用する方法もあります。これらの対処法は痛みや炎症を和らげるためには有効な手段です。
ただし、授乳中の方は薬の使用に際して、必ず医師や薬剤師に相談してください。症状が続く場合や悪化する場合は、自己判断での治療を避け、専門の医療機関で適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
4.女性ホルモンを整える
育児中は女性ホルモンの変動により、腱鞘炎になりやすくなります。 とくに、エストロゲンの減少が影響しているため、ホルモンバランスを整えてあげることが大切です。
ホルモンバランスを整えるためには、適切な栄養の摂取が欠かせません。玄米やブロッコリーなどのビタミンB6を多く含む食品を積極的に摂取するのがおすすめです。また、適度な運動や十分な休息も、ホルモンバランスを安定させ、腱鞘炎の予防につながります。
育児腱鞘炎でよくある3つの質問
最後に、育児腱鞘炎でよくある質問をご紹介します。
- 質問1.産後の腱鞘炎はいつまで続くの?
- 質問2.腱鞘炎におすすめのストレッチは?
- 質問3.母親のほうが腱鞘炎のリスクが高い?
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
質問1.産後の腱鞘炎はいつまで続くの?
出産後の身体の不調は、軽度であれば短期間で改善する場合もありますが、症状が深刻な場合は回復までに時間がかかるケースがあります。これらは、女性ホルモンの変動が原因である場合が多く、ホルモンバランスが整えば、症状が軽減するケースもあります。
また、育児の負担の減少によって自然に痛みが和らぐ場合もありますが、痛みが再発するケースもあるため、回復には個人差が見られる点を理解しておきましょう。
質問2.腱鞘炎におすすめのストレッチは?
参考:MEDIAID|『腱鞘炎』の治し方とは?原因と症状、腱鞘炎を予防するストレッチ方法
赤ちゃんの世話や家事の後は、手や指をケアするようにしましょう。家事が一段落したタイミングでストレッチをすれば、手首や指の疲れを癒し、筋肉をリラックスさせられます。
肘を伸ばして片手を上げ、手のひらを手前にして指先を下に向け、手の甲に反対の手を添えて引きながら、親指と小指をそれぞれ手前にひねります。それぞれの動作は15〜30秒キープしてください。
なお、ストレッチは、就寝前やお風呂上がりなど体が温まっている時に行うと効果的です。簡単な動きでも、続けることで手や腕の疲労が軽減します。
質問3.母親のほうが腱鞘炎のリスクが高い?
現代では、男女問わずパソコンやスマホの使用が増加しており、育児や家事に積極的な男性も増えています。このような生活環境の変化から、腱鞘炎のリスクは男女ともに存在します。
ただし、女性ホルモンのエストロゲンは腱や腱鞘のやわらかさを保ち、プロゲステロンは産後に腱鞘を収縮させるため、女性は特に腱鞘炎になりやすいのです。しかし、日常的にデジタル機器を多用する男性も腱鞘炎になりやすいため、注意してください。
なお、共働き夫婦の家事分担については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:共働き夫婦の家事分担はどうしてる?分担を成功させる7つのポイントをわかりやすくご紹介!
まとめ
本記事では、育児中に生じる腱鞘炎の原因や腱鞘炎にならないコツ、育児中の腱鞘炎を防ぐための対策について解説しました。
育児中に起こる腱鞘炎は、頻繁な抱っこやおんぶ、筋肉の少なさによる疲労の蓄積、そして産後の女性ホルモンの減少によって引き起こされます。この痛みを防ぐためには、指や手首を適切に休ませ、サポーターで支えるのが効果的です。
また、症状が出た際には市販薬の利用も1つの手段です。さらに、抱っこや授乳の際には、体勢の工夫により、負担を減らす努力が欠かせません。これらの対策を取り入れ、腱鞘炎に注意しながら、育児を楽しみましょう。
なお、次のページでは、子育てうつの原因やセルフチェック項目、つらいときに相談できる窓口を紹介しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。
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