日々の子育ての中で「子どもが言うことを聞いてくれない…」と悩む親御さんは少なくありません。子どもが言うことを聞かないのは、子どもの年齢によって考えられる理由が異なります。
少しでも子どもに言うことを聞いてもらうにも、子どもの気持ちに寄り添い大らかな気持ちで子どもと関わることが大切です。この記事では年齢別に子どもが言うことを聞かない理由や正しい対処法をご紹介します。
【年齢別】子どもが言うことを聞かない理由
子どもが言うことを聞かないのには、さまざまな理由が考えられます。大まかな理由は、以下の通り年齢別に分けて見ていくと把握しやすいでしょう。
- 1歳~2歳頃
- 3歳~4歳頃
- 5歳~6歳頃
ここではそれぞれに分けて解説します。
1歳~2歳頃
子どもは生まれてからしばらくの間、母親と同一の人格だと認識しているとされています。
1歳ごろから徐々に自我が芽生え始め「自分は母親と別の人間」だと気が付くようになり、少しずつ自己主張が強くなります。
これが一般的に「イヤイヤ期」と呼ばれる第一次反抗期です。子どもごとに違いが見られますが、2歳頃にもっとも手を焼くといわれています。
3歳~4歳頃
3歳~4歳頃に言うことを聞かないのは、イヤイヤ期の延長や遅れてイヤイヤ期が訪れたからと考えられます。
1〜2歳の頃は泣いたり、体を使ったりと表現が限定的でしたが、3歳~4歳頃になると言葉で表現ができるようになります。そのため「◯◯はしたくない」「◯◯じゃなければイヤだ」と、言葉で意志を伝えることも多くなるでしょう。
5~6歳頃
5〜6歳頃になると身の回りのことは自分でできるようになり、遊び方のバリエーションも増え、自立心が強まってきます。こうした自立心の高まりに伴い、自己主張が以前よりも高まるでしょう。
親からは反抗的に感じるかもしれませんが、子ども自身思い通りに動けなかったり、表現できなかったりして困っていることもあるはずです。頭ごなしに否定したり、先回りしすぎたりせず、大らかな気持ちで見守ってあげましょう。
親として気をつけたい4つのNG行動
子どもが言うことを聞かない場合、もしかしたら親に原因があるかもしれません。親として気をつけたいNG行動には、以下の4つが挙げられます。
- 約束を守らない・言動がブレる
- 頭ごなしに「ダメ」とだいう
- 脅す、叩くなどの威圧的なしつけ
- コントロールしようとする
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.約束を守らない・言動がブレる
子どもが泣くから・グズるからと、約束したことを破るのは避けてください。どんなときでも約束を守るのは大変なことかもしれません。しかし、子どもが小さい頃から、親が約束を守る姿勢を見せることが大切です。
また、親の言動に一貫性がない場合も注意しましょう。状況によって言うことがブレてしまうことは避けられません。しかし、言うことを聞かない子どもへの言動がブレ続けると、泣けば・ゴネれば要求が通ると覚えてしまいます。
2.頭ごなしに「ダメ」とだけ言う
子どもが何か危ないことやいけない行動をした際、ただ一言「ダメ」とだけ伝えても、子どもは何も学ぶことができません。
理由がわからなければ、親の言うことを聞くか・聞かないかだけの選択になります。
たとえば、リュックを背負ったまま遊んでいる子どもに対して注意する場合、何がダメなのか理由を伝えることが重要です。
最初は理解できないかもしれませんが、きちんと言葉にして理由を説明する姿勢は子どもにも伝わります。
3.脅す、叩くなどの威圧的なしつけ
脅すようなしつけがダメだということは当然のことかもしれません。しかし、意識していないとついついやってしまうこともあり得ます。
脅すようなしつけは一時的には効果がありますが、根本的な解決にはならないため、慣れてくると意味をなしません。
さらに、親の脅しがヒートアップしていくおそれもありますし、子ども・親の双方に悪い影響が大きくなります。
叩くなどの暴力はもってのほかです。たとえ軽く叩く程度であっても、控えてください。
4.コントロールしようとする
子どもは親の所有物ではなく、1人の独立した人格を有しています。子どもにも気持ちがありますし、その時々に都合もあります。
「言うことを聞かせること」の目的が「自分の思い通りに動かすこと」になってしまうのは危険です。
大人同士でも人を思い通りにコントロールしようとする人物は信頼されません。それは子どもに対しても同じことがいえます。
子どもをコントロールしようとするのではなく、主体的に気づき、動けるような言葉をかけるように意識してください。
言うことを聞かない子どもへの7つの対処法
言うことを聞かない子どもへの対処法は、以下の7つが挙げられます。
- 親が約束を守る
- 子どもの気持ちに寄り添う
- 子どもの意見に耳を傾ける
- 脅すような言葉は使わない
- 代替案を考えてみる
- ダメな理由を添えて伝える
- 一貫性のある言動を心がける
ここではそれぞれに分けて解説しますので、見ていきましょう。
1.親が約束を守る
子どもに言うことを聞いてもらうには、親が約束を守る意識をしっかり持ちましょう。子どもが言うことを聞かないからといって、約束を破ると信頼関係が結べません。
大人にとっては些細な約束でも、子どもにとっては大切な約束です。守れそうにない約束は約束するのが難しい理由を子どもに説明し、無理に約束を結ばない方がよいでしょう。
また「おやつはこれだけね」と渡したものの、子どもがぐずったから余分にあげてしまうことも約束を破ることになります。
このような約束破りが続くと、子どもに「ぐずれば自分の要求が通る」という間違った成功体験が積まれてしまうでしょう。子どもに言うことを聞いてもらいたいのであれば、親が約束を守ることから始めてみてください。
2.子どもの気持ちに寄り添う
子どもの気持ちに寄り添う意識も大切です。椅子に座って絵本の読み聞かせをしていても、子どもが急に歩き回って落ち着かないときもあるでしょう。このときの子どもには、以下のような気持ちが考えられます。
- 飲み物がほしい
- お腹が空いた
- 絵本に飽きた
- おもちゃで遊びたい
このように一つの場面を切り取っても、子どもはさまざまな気持ちを抱いている可能性があります。目に見える行動から理由を考えると、子どもの気持ちに寄り添いやすいです。
3.子どもの意見に耳を傾ける
忙しいと子どもの意見に耳を貸さず、親主導で物事を推し進めてしまいがちです。このような行動が日々繰り返されていくと親としては子どもを無視している自覚がなくとも、子どもからすると無視されていると感じやすいものです。
特に以下のような振る舞いをすると、子どもは「無視された」と感じやすいでしょう。
- 家事の最中で聞き流した
- 向き合って話さなかった
- 何を言っているか理解できずに流した
忙しい毎日で大変かもしれませんが、子どもの意見にはできるだけ耳を傾けましょう。そうすることで子どもの気持ちが満たされ、大人の言うことに耳を傾けられやすくなります。
4.脅すような言葉は使わない
「◯◯したらおやつあげないよ」「鬼さん呼ぼうか」といったように、言うことを聞かないときに脅す言葉を子どもに向けてしまいがちです。こうした脅し言葉はその場では言うことを聞くかもしれませんが、本質的な解決につながりません。
脅すような言葉を使うと、なぜ叱られたのか理由が分からないまま「イヤだ・怖い」という感情だけが残りやすくなるといえます。子どもとしっかり向き合って親の意志を伝えるようにしましょう。
5.代替案を考えてみる
いくら子どもが駄々をこねても、どうしても子どもの意向を叶えてあげられない状況もあり得ます。
そんなときは、代替案を考えるのも一つの方法です。その際、大人は代替案を出すだけに留め、意思決定は子どもに委ねるのがポイントです。
6.ダメな理由を添えて伝える
忙しいときは、子どもに「ダメなものはダメ」と、理由をしっかり説明せずに頭ごなしに否定しがちです。しかしいくらダメと言われても、理由が分からなければ納得できずに同じことが繰り返されやすくなるでしょう。
そのためダメな理由を必ず添えて伝えるようにしてください。子どもは一度で理解できない場合もあり、時に忘れることもあるでしょう。そのため、繰り返し地道に理由を伝えていくことが大切です。
7.一貫性のある言動を心がける
親の言動に一貫性がなければ、子どもはさらに言うことを聞かなくなりやすくなります。子どもが駄々をこねたり執拗に要求するからといって、一度決めたルールをその都度変えるといった一貫性の伴っていない行動をするのは危険です。
間違えた成功体験が積まれると、少しでもやりたくないことが現れたときに同じように振る舞う癖が身につきやすくなります。一貫性のある言動を続けるのは労力がかかりますが、子どもにはできるだけ一貫性のある言動を心がけましょう。
子どもが素直に話を聞ける接し方3つのポイント
子どもが言うことをきくには、素直な話を聞けるように環境を整える必要があります。その時に意識したいポイントには、以下の3つが挙げられます。
- 話を聞ける体制を整える
- 伝え方を工夫する
- 自主的に動ける環境を整えてサポートする
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.話を聞ける体制を整える
子どもに親の話を聞いてもらうには、環境を整えることが大切です。そのため、子どもに声をかける場合は、以下の2つを意識してみてください。
- 声かけを避けるタイミング
- 体制作り
声をかける際、タイミングを見計らいましょう。ゲームをしている・体調が悪い・嫌なことがあった・喧嘩しているような状況は避けてください。
これらのタイミングを避けて声をかけると、話を聞いてもらいやすくなります。
次に、話を聞く体制を作りましょう。目を見る・体に触れて注意をこちらに向けるなどの行動をして、こちらに関心を向けたうえで会話を始めます。
大きくなった子どもに対しては「これから話すから聞いてね」と、言葉をかけてから予告してあげることも有効です。
2.伝え方を工夫する
伝え方を工夫することも大切です。「しっかりしなさい」「ちゃんとしなさい」などの曖昧な言葉は意味を的確に理解できず、子どもに伝わらないおそれがあります。
伝える場合は具体的に「どうして・何をしなければいけない・してはいけないのか」を言葉にしましょう。
また、声量やスピード、表情についても子どもが聞きやすいように意識することが大切です。
さらに、一度に伝えられることには限度がありますので、たくさん言いたいことがあったとしても、大切なことだけに絞って注意しましょう。
3.自主的に動ける環境を整えてサポートする
子どもが自主的に動ける環境を整えることも効果的です。
以下のような環境整備をすると、きちんとした生活やすべきことを自主的にできるようになります。
- スケジュール表を見やすい場所に貼る
- やることリストを作る
- 集中を邪魔するものは収納しておく
- 筆記用具やノートは出しやすい位置に置いておく
- できたことを褒める
これらはほんの一例ですが、言うことを聞かないで困るのは親子ともに同じです。それであれば、環境を整えて、自分から行動できるようにしてあげるとガミガミ言わなくても済むようになります。
子どもは成長し、いずれ自立しなければなりません。最終的には「自分で考えて工夫する」「やらされるのではなく、自分で考えて行動する」ように導く必要があります。
まとめ
子どもが言うことを聞かない理由は、年齢によって傾向が異なります。特に自我が目覚めて自己主張し始めると、より子どもが言うことを聞かなくなって困ることが増えるかもしれませんが、成長過程のひとつとして根気強く向き合っていくように意識してみてください。
親の意見を押し付けるのではなく、子どもの気持ちに寄り添うことが重要です。すべてを完璧にすることは難しいかもしれませんが、できることから意識して子どもと向き合っていきましょう。
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