イヤイヤ期は、子どもの成長段階でみられる自己主張の1つですが、振り回されてストレスに感じている方も珍しくありません。しかし、感情的に叱るのは子どもの発育にもよくないため、イヤイヤ期の子どもとの正しい向き合い方を理解しておきましょう。
本記事では、イヤイヤ期のピークやイヤイヤ期の子どもに見られる行動パターン、子どもへの向き合いかたのポイントについて解説します。また、イヤイヤ期が終わりそうな兆候についても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
イヤイヤ期のピークはいつ?
まず、イヤイヤ期のピークについて解説します。
- イヤイヤ期の始まり
- イヤイヤ期のピーク
- 感情を爆発させる
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
イヤイヤ期の始まり
子どもの自我が芽生えると、自分の意思を持つようになる一方で、それをうまく表現できずに周囲との意思疎通が難しくなります。1歳半頃から自己主張が強まり、自分の思いが伝わらないと感情を外にぶつける行動が増えるのが特徴です。
この時期に子どもが強く反応するのは成長のあらわれであり、自分の気持ちを理解して表現する力が育っている証拠といえます。親や大人にとっても忍耐が求められる時期ですが、子どもの発達においては非常に重要な時期です。
イヤイヤ期のピーク
イヤイヤ期は、子どもが成長する中で自己意識が芽生え、周囲と自分を区別する力が発展する時期です。一般的に1歳半頃から始まり、2歳頃に強まる傾向にあります。
子どもは「自分でやりたい」「思い通りにしたい」という気持ちを持ちながらも、その感情を適切に表現する方法を知らないため、周囲とうまく意思疎通がとれません。
親にとってはイヤイヤ期の対応が試練に感じられますが、子どもが社会的なスキルや感情のコントロールを学ぶために必要な時期の1つです。
イヤイヤ期の子どもに見られる行動パターンは3つ
次に、イヤイヤ期の子どもに見られる行動パターンについて解説します。
- 何をしても「イヤ!」という
- 感情を爆発させる
- 何でも自分でやりたがる
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
何をしても「イヤ!」という
イヤイヤ期では、何をするにも「イヤ!」と答えるのが特徴です。大人が誘導するのに対して、拒否や抵抗を示す行動は、内容が嫌なわけではなく自分で決めたいという気持ちから生まれます。
「お外で遊ぼう」と誘うと「行く!」と答えるのに、「帽子をかぶろうね」と言われると「イヤ!」と反発するのは、「自分で選ぶ」という意志があるのに伝えかたが未熟なため、拒否の表現を繰り返してしまうためです。
感情を爆発させる
2歳頃の子どもは、感情をコントロールする力がまだ十分に発達していないため、自分の欲求が通らないと感情が高まりやすくなるのが特徴です。
「もっと遊びたい」「おもちゃを買ってほしい」といった要求が受け入れられないと、大声で泣き出したり、手足をばたつかせたりして不満を表現します。しかし、これらは、子どもにとっては大きな問題であるため、場所を問わずに感情を爆発させてしまう場合も少なくありません。
何でも自分でやりたがる
2歳頃になると、子どもは身の回りのことを「自分でやりたい」という気持ちが強まりますが、実際にはまだその能力が十分ではありません。
親が手助けしようとすると「イヤ!」と拒否し、自分でやろうと意気込みますが、途中でうまくいかないとフラストレーションが爆発します。
服のボタンを留めたり、飲み物を注ぐなどの日常の小さな作業でも「自分で!」という主張が強くなり、できないと感情的になるなど、自立心と現実のギャップに悩む時期です。
イヤイヤ期の子どもへの向き合いかたのポイントは5つ
次に、イヤイヤ期の子どもへの向き合いかたのポイントについて解説します。
- ある程度やりたいようにさせてあげる
- 気持ちを代弁してあげる
- ちょっとしたことでも褒めてあげる
- 何がしたいのかじっくり聞いてあげる
- 選択肢を与えてあげる
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.ある程度やりたいようにさせてあげる
子どもが自分でやりたがる場合は、成長の大切なステップのため、サポートしながらもできるだけ見守りましょう。「まだ無理だろう」と決めつけずに挑戦させると子どもは達成感を味わえます。
また、失敗したときには叱るのではなく、「頑張ってるね」と励ましてあげましょう。うまくいったときには心から褒めてあげることが大切です。成功体験の積み重ねが子どもの自立心を養います。
2.気持ちを代弁してあげる
子どもが自分の気持ちをうまく言葉にできないときは、親がその感情を代弁してあげましょう。「こうしたかったんだね」「それが嫌だったんだね」といったシンプルな言葉で気持ちを表現してあげると、自分の感情が理解されたと感じて安心します。
こうした親のサポートにより、言葉で少しずつ自分の気持ちを表現する方法を身につけていけるため、とても大切な接し方の1つです。
3.ちょっとしたことでも褒めてあげる
子どもを褒めるときは、些細な出来事でも積極的に声をかけるようにしましょう。自分で靴を履けた、食事を残さずに食べられたなど、日常の小さな成功体験を認めてあげれば自信につながります。
この積み重ねが、次への意欲や挑戦する力につながるだけでなく、親の温かい言葉が子どもの成長を支えています。
4.何がしたいのかじっくり聞いてあげる
イヤイヤ期の子どもは、自分の意見を通したい気持ちが強くなりますが、表現方法が未熟で思うように伝えられずにストレスを感じます。
このため、親が子どもの言葉や態度にじっくり耳を傾けてあげることが大切です。何を求めているのか、何がしたいのかを見つけ出すサポートをすると、安心して少しずつ自分の気持ちを言葉で表現する力が育ちます。
5.選択肢を与えてあげる
子どもが行動に移しやすくなる方法として、選択肢を与えてあげるのも効果的です。「これとこれ、どちらがいい?」と聞くと、自分で決める感覚が持てるため、反発する気持ちが落ち着きます。
この時、どちらを選ばれても困らないような選択肢を提示するのがポイントで、「赤い服と青い服どちらにする?」と提案し、どちらを選んでも問題ないようにしてあげましょう。
なお、イヤイヤ期の接し方については、こちらの記事で紹介しています。
関連記事:イヤイヤ期の子どもへの接し方のコツは3つ|自己主張する原因や注意すべきポイントを紹介!
イヤイヤ期が終わりそうな3つの兆候
次に、イヤイヤ期が終わりそうな兆候について解説します。
- 気持ちを言葉で伝えられる
- 気持ちの切り替えができる
- ルールを守る意識が芽生えている
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
1.気持ちを言葉で伝えられる
子どもは成長とともに少しずつ言葉で気持ちを伝えられるようになります。2歳頃には2語文、3歳頃には3語文を話しはじめる場合が多いです。「イヤ」とだけ言っていた時期から「なぜイヤなのか」を説明できるようになると親も子どもの意図を理解できるようになります。
ただし、感情が高ぶっているときは冷静なやりとりが難しいため、落ち着くのを待ちながらゆっくりと気持ちを引き出してあげましょう。
2.気持ちの切り替えができる
子どもが癇癪を起こしても、少しずつ気持ちを切り替えようとする姿が見られる場合、イヤイヤ期の終わりが近づいている傾向にあります。
「外で遊びたい!」と泣いていた子が、突然「おもちゃで遊びたい」と言いはじめたら、外に行けない状況を受け入れ、他の遊びで満たそうと考えたのかもしれません。
こうした変化は大きな成長の証です。要求が変わってもイライラが残る場合もありますが、「我慢できたね」と褒めて気持ちに寄り添ってあげましょう。
3.ルールを守る意識が芽生えている
子どもが「赤信号は止まる」「順番を守る」など、基本的なルールを理解しはじめたら、イヤイヤ期の終わりが見えてきます。これらは、理性が少しずつ育ちはじめている証拠で、社会の中での行動を学ぶ大切なステップです。
家庭内でも、「食事の前には手を洗う」や「おもちゃは片付ける」といった分かりやすいルールを設ければ、ルールを守る習慣が身についていきます。このプロセスが前頭前野の発達を助け、理性的な行動を促します。
イヤイヤ期のピークでよくある3つの質問
次に、イヤイヤ期のピークでよくある質問について解説します。
- イヤイヤ期が起こる理由とは?
- イヤイヤ期が始まらないのはおかしいの?
- 4歳の壁とは?
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
質問1.イヤイヤ期が起こる理由とは?
イヤイヤ期が訪れる理由には、脳の発達段階が深く関わっています。我慢や感情のコントロールを担う前頭前野は、成長がゆっくりと進むため、2歳前後の子どもは自分の欲求を抑えられず、癇癪を起こしやすいです。
この時期は自我が芽生え、自分の意思を通したい気持ちが強まりますが、抑える機能が未熟なためにイヤイヤが頻発します。子どもの行動を脳の発達として理解すると、大人も少し冷静にサポートできるかもしれません。
質問2.イヤイヤ期が始まらないのはおかしいの?
イヤイヤ期の始まりや強さには個人差があります。一般的には1歳半から2歳ごろに始まる子どもが多いものの、3歳を過ぎてから見られる子もいれば、ほとんどイヤイヤが目立たない子もいます。
子どもの性格や成長ペースに加え、親の受け取りかたも大きく関わっており、泣いたり癇癪を成長の一環ととらえてイヤイヤ期と感じない親もいます。イヤイヤが少なくても問題はなく、心配せずに見守ることが大切です。
質問3.4歳の壁とは?
4歳になると、自己主張がさらに強まる「4歳の壁」に直面する子どももいます。これは、2〜3歳のイヤイヤ期とは異なり、自分と他者の違いを理解しながらも思い通りにいかない現実に対するイライラが原因です。
子どもは「なんで自分の思う通りにならないの?」と、周囲の反応に苛立って泣きわめいたり、ふてくされたりする行動が増えます。
語彙も増えて強い言葉や行動が見られる場合もあり、感情が複雑化しているので親にとっては大変な時期ですが、成長とともに自己コントロールが身につくと落ち着いていくため、安心して見守ってあげましょう。
まとめ
本記事では、イヤイヤ期のピークやイヤイヤ期の子どもに見られる行動パターン、子どもへの向き合いかたのポイント、イヤイヤ期が終わりそうな兆候について解説しました。
早い子では1歳半ごろからイヤイヤ期が始まります。この時期は、子どもの気持ちを受け止めつつ、親が伝えたい内容を説明し、ときには気をそらすなどして対応しましょう。
また、子どもに選択肢を与えて、少しでも癇癪を軽減する工夫が大切です。この時期は、子育てのなかでも大変な時期の1つですが、パートナーと協力しあって上手に発散しながら乗り越えるようにしましょう。
なお、次のページでは、子育てがひと段落するのはいつか、少しでも楽にする方法や自分の時間を確保するコツを紹介しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。
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