家事は毎日休みがないため、多くの人が日々の家事を負担に感じていることでしょう。家事の負担を軽減する方法のひとつに、家族と家事を分担することが挙げられます。
本記事では、家事分担をするリスト化の重要性や作成メリット、上手く分担するコツを詳しく解説します。今すぐ使える家事リストも紹介するので、家事分担にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
家事を分担するには「リスト化」が重要
家族と家事の分担を円滑に進めるためには、リスト化が重要です。
日常の家事をリストアップして明確に「見える化」することで、家族全員が家事の分担をしやすくなります。また、このアプローチにより、必要な家事とそうでない家事を明確に区別でき、家事の効率化も図れます。
家事リストとは?
日々の家事タスクを整理・可視化するために、家事リストを作成しましょう。
主な目的は、隠れてしまいがちな家事を目に見える形にすること、リストに沿って作業を進めることで忘れ物や手抜きを減少させることにあります。また、このリストを活用することにより、家族と分担しながら日常の家事を効率的に行うことができます。
家事リストのポイントは、家事に関するすべてを洗い出すことです。そうすることで、普段の家事が精神的にも物理的にも楽になるでしょう。
話題の「見えない家事」とは?
家事と言えば、料理・洗濯・掃除が、すぐに思い浮かぶでしょう。しかし、家事の中には、表面には見えにくいものの、日常をスムーズに進めるために欠かせない細かい作業が数多く存在します。これを「見えない家事」と呼びます。
たとえば、料理だけでも、朝昼夕の献立づくり、冷蔵庫の食材の組み合わせ、栄養バランスを考えた買い出し、そして買ってきた食材の収納など、一見単純な家事でも多くの隠れた作業があります。しかし、これらのタスクには明確な名前がないため、その存在や労力が見過ごされがちです。
「国立社会保障・人口問題研究所」の調査結果では、家事を負担する時間配分の平均が、妻が夫に比べて平日で約7倍、休日でも4倍近く担っていることが判明しました。見えない家事の影響を加味すると、その時間差はさらに大きくなるかもしれません。
専業主婦や共働き、子どもの有無など、ライフスタイルによってさまざまですが、一方に負担がかかるのではなく、見えない家事も含めて家族全員で分担することが、日常生活をより快適に過ごすために重要です。
参考:国立社会保障・人口問題研究所「第6回全国家庭動向調査」
家事リストを作成する5つのメリット
家事をリスト化する重要性が理解できたところで、次は家事リストを作成するメリットを紹介します。主なメリットは次の5つです。
- 不満やストレスを減らせる
- タスクの漏れを防げる
- 夫妻間での認識のズレを防げる
- 夫や子供の協力を仰げる
- 自分の時間を作れる
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
1.不満やストレスを減らせる
項目を一つひとつ書き出すと、たくさんの家事があることが明らかになります。一見単純に見える家事も、実際には多くの見えない作業が背後に隠れているのです。
また、一つの家事タスクが進行中に、他のタスクも平行して進むことが判明するでしょう。家事の複雑さを家族全員が共有することで、お互いの労力や貢献をより深く理解できます。この共感は、家庭内での不満やストレスを大きく軽減させるメリットにつながります。
2.タスクの漏れを防げる
毎日子育てや仕事で忙しい中、しなければならない家事タスクを忘れてしまうこともあるでしょう。家事は同時進行が多く、料理をしながらの洗濯、掃除を行いつつの片付けなど、絶えず次から次へとタスクが待ち構えています。
そこで、家事リストを作成し、目に見える場所で活用することで、タスクの整理と管理が効率的に行えます。この方法で、やり忘れを心配することはなくなるでしょう。
3.夫妻間での認識のズレを防げる
家事リストで具体的な内容を示すことは、夫妻間での認識のズレを防止するのにも効果的です。明確に分担を見える化することにより、どちらがどれくらいの家事を担当しているのか、そしてどの程度の負担が理想的でストレスを感じないのかが明らかになります。
実際、多く家庭で、家事や育児の役割についての認識に隔たりを感じていることがあります。この認識のギャップは、時に不満やストレスを生む原因となります。そのため、お互いの役割をはっきりさせ、それを目に見える形で共有することは、円滑な家庭生活を送る上で非常に重要です。
4.夫や子どもの協力を仰げる
「どの家事をどのようにすればよいか」が不明確であることが、一方に家事負担がかかる要因のひとつになっているかもしれません。家事リストでタスクを明確にすることで、夫や子どもが具体的にどう行動すればよいかはっきりと理解することができます。
特に、子どもは、自分が果たせる役割や期待されることを具体的に知れば、喜んで家事に取り組むことが多いです。家事リストを導入して、親子で楽しみながら家事を進めると良いでしょう。
5.自分の時間を作れる
家事リストの作成により、日々のタスクを見える化することで、その中から本当に必要なものを選び出す家事の断捨離が可能になります。
頻繁に行わなくてもよい家事は、週に2回など頻度を見直し、他の家族や専門業者に頼むことができる家事はどんどんお願いしましょう。家事を効率的にこなすことで、自分の時間を作ることができます。
また、新たに確保した時間は、心と体をリフレッシュする時間の活用におすすめです。毎日きちんと家事をすることも大切ですが、自分のリラックス時間も同じくらい価値があります。バランスよく生活を楽しむための見直しを、ぜひ試してみてください。
家事リストの作成方法は3ステップ
家事リストはどのように作成するとよいでしょうか。ここでは、家事リストの作成方法を3ステップに分けて紹介します。
- ステップ①すべての家事を洗い出す
- ステップ②優先順位を付けて並び替える
- ステップ③家族全員で家事一覧を共有する
それぞれ詳しくみていきましょう。
ステップ①すべての家事を洗い出す
家事リストを作成する際、最も手間がかかるのが全ての家事をリストアップすることです。しかし、この段階をクリアすれば、その後はスムーズに進めることができます。
日常の家事タスク、「ごみの出し」や「料理の準備」から、細かいタスク、たとえば「トイレットペーパーの補充」まで、すべてリストに書き出しましょう。
家事の項目を考え始めると、思いのほか、多くのタスクが浮かんできます。初回の洗い出しは15〜30分の時間を設け、その時間内で考えついたものをリストアップし、後は随時追記する形にすると効率的です。
ステップ②優先順位をつけて並び替える
家事リストの洗い出しが完了したら、そのタスクをカテゴリーごとに優先順位をつけながら並び替えましょう。
- 頻度別:毎日、週1回、月1回、年1回など
- 場所別:キッチン、リビング、バスルーム、トイレ、玄関、寝室、子供部屋など
- タスク別:料理、洗濯、掃除、子ども、ペット、支払い、各種手続きなど
次に、各タスクが他人にお願いできるか、自分自身で行わなければならないのかを分けていきます。
たとえば、お風呂掃除、洗濯物を干す・たたむ、料理、庭の手入れなどは、必要に応じて他の家族に任せることが可能です。一方、請求書の支払いや特定の手続きは、自身で行う必要があるかもしれません。
このようにカテゴリー別に整理することで、毎日の優先タスクや、他人にお願いできるタスクが明確になります。
ステップ③家族全員で家事一覧を共有する
家事リストが完成したら、最終ステップは家族全員と共有です。共有の方法は大きく分けて2つあります。
- 紙で共有
- アプリで共有
紙で共有する場合、作成したリストを印刷して、家の中心的な場所、たとえば冷蔵庫の扉などに掲示しましょう。家族が日常的に目にすることができ、各タスクの完了時にチェックやサインを入れる習慣がつきます。
また、アプリで共有する方法も手軽で便利です。場所や時間を問わず、リストの確認・更新ができます。家族のスケジュールが異なる家庭にも共有しやすいでしょう。
どちらの方法を選ぶかは家族のライフスタイルや好みに合わせて選んでみてください。大切なのは、家事の負担を共有し、円滑なコミュニケーションを図ることです。
今すぐ使える家事リスト
ここでは、家事の分担がしやすいように、家事タスクを紹介します。
- 料理カテゴリの家事リスト
- 洗濯カテゴリの家事リスト
- 掃除カテゴリの家事のリスト
- 見えない家事のリスト
各カテゴリごとに、作業をリストアップしました。ぜひ活用してみてください。
料理カテゴリの家事リスト
- メニューの計画
- 買い物リストの準備
- 食料品の購入
- 購入した食材の収納
- 調味料のストック確認と追加
- 料理の前準備
- 料理の下ごしらえ
- おかずの作り置き
- お弁当の準備
- 各食事の調理(朝・昼・夕)
- 料理の盛り付け
- 使用した食器の洗浄
- 洗った食器の収納
- ダイニングテーブルの拭き取り
- シンクや排水口の清掃
- 生ごみの処理
- まな板の消毒と漂白
- キッチンふきんのケア
- ガスコンロの清掃
- 冷蔵庫内の整頓と清掃
- 食材の鮮度・期限確認
- 洗剤の補充・交換
- 調味料収納の整理
- 調理ツールの洗浄
- 調理道具の収納整頓
- 電子レンジやオーブンの清掃
- キッチンの壁面清掃
- キッチン床の清掃
- トースターのメンテナンス
- コーヒーマシンの清掃
- 飲み物の用意
- 浄水機のメンテナンス
- 包丁の研ぎ直し
- 換気扇の定期的な清掃
洗濯カテゴリの家事リスト
- 洗濯機での洗濯開始
- 洗剤のストック確認と追加
- 柔軟剤のストック確認と追加
- 洗濯前のアイテムのポケット内容確認
- 服の洗濯タグのチェック
- 洗った衣類の干し作業
- 乾いた衣類の取り込み
- 衣類のたたみ作業
- 衣類の収納
- ベッドリネンの洗い替え・洗濯
- 汚れた部分の前処理
- 手洗いが必要なアイテムのケア
- クリーニング店への持ち込み
- クリーニング品の受け取り
- 漂白剤のストック確認と追加
- 洗濯機の外周りの清掃
- 洗濯槽の定期的な掃除・カビ対策
- 子供の学校用の靴の洗浄
- 季節ごとの衣類の入れ替え
- 衣類の修繕やボタンの取り付け
掃除カテゴリの家事のリスト
- 掃除機を使用しての清掃
- 表面の拭き取り
- 窓ガラスの清掃
- バルコニー・ベランダの清掃
- 庭エリアの手入れ
- 庭木や植木の管理
- 玄関エリアの整理
- 浴室関連の清掃(床、壁、浴槽、カビ対策、排水口、バスマットの交換、換気扇、洗面台、洗浄剤の追加)
- トイレ関連の清掃(床、壁、マットの交換、トイレットペーパーの補充、便器の掃除)
- 放置されているアイテムの片付け
- 収納エリアの整理整頓
- 靴の整列
- 各部屋からのゴミ収集
- ゴミの外への搬出
- 加湿器や空気清浄機のメンテナンス
- エアコンユニットの清掃
- 細部のホコリ除去
- 洗浄用製品の補充やリフィル
見えない家事のリスト
- 郵便物の確認
- 不要な郵送物の廃棄
- 家族の送迎
- ティッシュの補充
- 生活必需品の調達・追加
- ゴミ袋のセット
- 子どもからの配布資料の確認
- 子どもの宿題のサポート
- 子どもの習い事の送迎
- ペットのケア(餌やり、排せつ対応、ケージ清掃、餌のストック)
- 請求書や料金の清算
- 宅配物の受け取り
- 訪問者への対応
- PTAや学校のイベント参加
- 地域コミュニティミーティングへの出席
- 医療施設の付き添い
- 家族の式典やイベントへの参列
夫婦で上手く家事を分担する5つのコツ
せっかく家事リストを作成しても、お互いに分担できなければ意味がありません。夫婦で上手く家事を分担するコツは、主に次の5つです。
- 余計な口出しをしない
- 感謝の気持ちを伝える
- 家族で楽しく家事をシェアする
- 完ぺきを求めない
- ある程度のルールを設ける
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
1.余計な口出しをしない
日常的に家事を行う人は、効率よくタスクを進めるテクニックを持っていますが、他の家族が協力してくれるとき、そのやり方が気になることがあるかもしれません。
「食器の洗浄が不十分だ」「洗濯物がシワになって干されている」といった細かなことについ口出ししたくなる気持ちもわかります。しかし、特に危険が潜んでいないのであれば、余計な口出しをせず静かに見守る姿勢を持つことが大切です。
簡単につかえる道具や仕組みを利用して、家族全員が家事に参加しやすくなるように心がけましょう。
2.感謝の気持ちを伝える
日常生活の見えない家事は、誰かの気付きによって行われています。たとえば、いつの間にか「シャンプーが補充されていた」「食器棚の指定の位置に食器が片づけられていた」「テーブルがきれいに拭かれていた」のであれば、それは相手が気付いて行動をしてくれたからです。
このような小さな気遣いに対して、当たり前と思わずに、感謝の気持ちを伝えましょう。感謝を伝えることで、行動を起こした相手も喜びを感じることができます。
3.家族で楽しく家事をシェアする
多くの家庭で、家事の分担をどのようにすべきか課題となることが多いです。その場合、家事分担アプリを活用して見直す方法もおすすめします。
アプリで家事の偏りを視覚的に示してくれるだけでなく、日常の細かい見えない家事もタスクとして見える化することが可能です。また、アプリ内には、ポイント獲得のようなゲーム性を取り入れているものもあります。
このようなアプリを使用することで、家族全員が家事を把握しやすくなり、一緒に楽しみながら分担することができるでしょう。
なお、次のページでは、おすすめの家事分担アプリを紹介しています。実際にどんなアプリを使用したらよいかお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:【2023年最新版】おすすめの家事分担アプリ10選|利用するメリットや選ぶ際のポイントも解説!
4.完ぺきを求めない
現代の子育て世帯は共働きである家庭も多く、仕事、育児、家事と多忙な毎日を過ごしているため、時間がいくらあっても足りません。急な仕事のトラブルや子供の急病など、計画通りにはいかない日もあるでしょう。
このような中で、完ぺきを目指すあまり、未達成の際にストレスを感じることは避けたいものです。あらかじめ100%を目指さず、できたときに自分を褒めるくらいの心の余裕をもつことが大切です。
また、パートナーに対しても、完璧を求めるのではなく「できなくてもOK」という姿勢を持つことで、日常の小さなストレスを減らすことができます。
5.ある程度のルールを設ける
家族間で家事にある程度のルールを設けておくと、日々のストレスや摩擦を減らすことができます。
たとえば、ママが空いた時間にゴミをまとめ、パパが出勤時に捨てるという具体的なルールを設定すると、お互いの負担が軽減されるだけでなく、タスクの進行状況が明確になります。また、共働きの家庭であれば、曜日ごとに料理の担当を事前に決めておくのも効果的です。
しかし、ルールは決めて終わりではありません。お互いの状況を理解して、ルールに柔軟性を持ちながら協力する姿勢が大切です。ルール通りにできない日があっても、責めるのは避けましょう。
家事リストでよくある3つの質問
家事リストでよくある質問を紹介します。主に次の3つです。
- 質問1.どうしても家事を分担できない場合の対処法は?
- 質問2.効率的に家事リストを作成するコツは?
- 質問3.夫でもできることは何?
詳しくみていきましょう。
質問1.どうしても家事を分担できない場合の対処法は?
どうしても家事の分担が難しい場合、家事代行サービスを利用するのもおすすめです。費用は発生しますが、その代わりに特定の家事を自分たちで行う必要がなくなり、ゆとりが生まれます。
代行サービスによっては、利用者が外出中でも対応してくれるので、自宅を空けている時間を有効活用することもできます。初回や定期利用による割引など、特典を設けている代行サービスもあるので、近隣のサービス業者をリサーチしてみると良いでしょう。
質問2.効率的に家事リストを作成するコツは?
家事リストを作成したいと思っても、何から始めればよいのか悩んだり、ゼロから考えるのは大変だと感じたりする人も多いでしょう。効果的に家事リストを作成するコツを2つ紹介します。
- 家事リストのテンプレートを利用する
- 家族全員で楽しみながら作成する
Web上で「家事リスト テンプレ」などのキーワードで検索すると、たくさんの家事リストテンプレートが出てきます。ライフスタイルや家庭のニーズに合わせて、必要な項目を追加すると簡単に家事リストを用意することが可能です。
また、AERAが提供する「家事育児100タスク表」もタスク管理に便利です。色分けやシールを用いて楽しみながら、家事の分担を表で視覚的に確認し合うことができます。
「家事育児100タスク表」は無料でダウンロード可能なので、興味を持った方は是非試してみてください。
質問3.夫でもできることは何?
協力したいけれど、何をすればよいかわからないパパもいるかもしれません。家事になれていない人へ分担する際は、比較的単純な家事や普段手が回っていない家事をお願いするのがベストです。
やり方にこだわりのあるタスクは、細かく指示して相手のやる気をなくしたり、お互いにイライラしたりする可能性があるため、避けた方が良いでしょう。
また、完璧でなくても、お互いにねぎらい、感謝し合う関係を築くことが大切です。
まとめ
ここまで、家事リストの重要性や作成するメリット、上手く分担するコツについて解説しました。
毎日の生活には多くの見えない家事があり、一方に大きな負担がかかっている場合、ストレスがたまりやすくなります。家事の負担を分散させるためには、家族間の家事に対する認識のギャップを埋めることが不可欠です。
家事を一覧にして整理する際、初めのうちは労力がかかるかもしれませんが、家族の協力とともに楽しみながら取り組むことで、さまざまなメリットが生まれます。この記事を参考に、無理なく日常の家事をこなせる理想的な家事リストを作成してみましょう。
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