保育園で必ずあるのがお昼寝の時間です。この記事では保育園でお昼寝をする目的からメリット、家庭でも使える寝かしつけのテクニックまで解説します。ぜひ参考にしてみてください。
保育園のお昼寝の目的とは?
保育園で長時間過ごす子どもたちにとって、自宅に次いで安心できる場所です。しかし、パパママと離れて生活しなければならないため、少なからず精神的・身体的にはストレスを感じてしまうでしょう。
お昼寝はこれらの疲れを回復させ、午後からも元気に活動するために欠かせないものといえます。
年齢ごとにお昼寝に向いた時間は異なる
保育園で過ごす子どもたちにとって、お昼寝することはとても大切なことです。しかし、年齢ごとに必要となる時間は変化していきます。
また、小学校に進学するとお昼寝の時間はなくなります。そのため、年齢ごとに時間の調節をしなければなりません。ここでは年齢ごとに最適なお昼寝の時間を解説しますので、詳しく見ていきましょう。
0歳児
0歳児は、月齢によって発達の差が大きい時期だといえます。そのため、お昼寝の時間も月齢や発達の具合に応じて調節しなければなりません。
たとえば、産休明けから預けられた生後2ヵ月の子どもは、1日の半分以上を眠って過ごすことになります。昼と夜の区別はできていませんし、ミルクを飲むと眠り、2〜3時間の間隔で起き、またミルクを飲む、といったサイクルで1日を過ごすこととなるでしょう。
しかし 3〜4ヵ月程度まで月齢が進むと、徐々に睡眠リズムが整い始めます。そのため、保育園でのお昼寝は午前と午後の2回が基本となります。もし延長保育を利用する場合は、夕方も眠って1日3回お昼寝するリズムができる場合もあるでしょう。
1〜2歳児
1〜2歳児になると、午後の特定の時間にお昼寝をするリズムができ始めます。時間としては2時間程度が目安でしょう。しかし、月齢が低い子どもやたくさん運動した日などは、昼食の途中で眠たくなってしまうことも考えられます。
そんな場合は、少し早めに昼食の時間を取り、2時間半ほど眠れば、すっきりと疲れを取ることができるでしょう。また、2歳になる頃には、お昼寝のリズムができあがっていることが理想です。
1時間半〜2時間程度を目処とし、保育時間が長い子どもや疲れているように見える場合は、お昼寝の時間を長くとるように意識します。
3歳児
3歳になると、休みの日は一切お昼寝しない子どもも増えていきます。そのため、保育園でも布団に横にはなるものの、無理に眠らせない対応をする場合も考えられるでしょう。
しかし、夕方に疲れが見られる・午後の活動に元気がない・自宅に帰ったらすぐに眠ってしまうような場合、2歳児までと同じように寝かしつけてもらい、お昼寝をさせてもらいましょう。時間は1時間〜1時間半が目安です。
4〜5歳児
4〜5歳児になると、休みの日にお昼寝しない子どもがほとんどを占めるようになります。そのため保育園でも、静かに絵本を読む時間や勉強に充てる場合も考えられるでしょう。
しかし、保育時間が長い場合はお昼寝を必要とする子どももいます。もし疲れが見られるときには、安心してお昼寝できるように、専用の部屋の準備があるのかを確認しておくとよいでしょう。
お昼寝の4つのメリット
お昼寝をするメリットは、以下の4つが挙げられます。
- 園児の疲労回復
- 事故防止
- 睡眠不足を補う
- 保育士の作業時間確保
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.園児の疲労回復
幼い子どもは保育園で1日過ごすと、どうしても疲れが溜まってしまうものです。
そのため、昼食後にお昼寝時間を設けることで、午前中の疲労を取り除くことができます。お昼寝した子どもたちは、スッキリとした気分で午後からの活動も楽しむことができるでしょう。
また、疲れているとぐずってしまう原因にもなります。子どもの機嫌が悪くならないためにも、お昼寝は非常に効果的です。
2.事故防止
子どもは眠たくなると、集中力が落ち、動きが緩慢になりやすくなります。疲れる前にお昼寝を取り入れることで、注意力低下を予防し、転倒や衝突など事故を防止する効果が期待できるでしょう。
また、適度な睡眠を取り入れることによって、心身の成長を助ける側面もあります。年齢ごとに適度なお昼寝をさせるようにしましょう。
3.睡眠不足を補う
1日に推奨されている睡眠時間は以下の通りです。
- 生後1歳までの赤ちゃん:14〜17時間
- 2歳までの子ども:11〜14時間
- 3〜5歳の子ども:10〜13時間
保育園の平均開所時間は11時間程度です。また、1〜2歳の子どもたちが保育園で過ごす時間の平均が8時間を超えることから考えると、自宅での睡眠だけでは足りないとわかるでしょう。
お昼寝には慢性的な睡眠不足を解消し、子どもたちの成長を促す効果が期待できます。
4.保育士の作業時間確保
子どもたちのお昼寝の時間は、保育士にとっても作業時間を確保する目的があります。
子どもたちが眠っている間は、保育士は連絡帳の記入や事務作業に取り組むことができます。
もちろん、お昼寝中でも「乳幼児突然死症候群(SIDS)」などのリスクがあるため、完全に目を離すことはありませんが、ほとんどの子どもが大人しくしている状況では、日常業務をこなす余裕が生まれるでしょう。
お昼寝の3つのデメリット
お昼寝をするデメリットは、以下の3つが挙げられます。
- 精神ストレスを感じる子どももいる
- お昼寝が習慣になってしまう
- 生活リズムが崩れるおそれがある
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.精神ストレスを感じる子どももいる
子どもたちの中には、眠たくないのに横にさせられることにストレスを感じてしまう場合もあるでしょう。
また、子どもが眠らないことによって、保育士は「早く寝かしつけないといけない」と焦りを感じてしまうことも考えられます。そうなるとイライラが負のスパイラルとなり、周囲まで精神的なストレスが伝播するおそれもあるでしょう。
2.お昼寝が習慣になってしまう
保育園では当然のように行われているお昼寝も、小学校に入った途端にできなくなります。
そのため、小学校入学間際になっても保育園に入った頃と同じ時間帯にお昼寝することが習慣になっていると、小学校へ入学したあとも一定の時間になれば眠たくなりやすいでしょう。
そうなると、午後の授業に集中できないなどの影響が起こるおそれがあります。
3.生活リズムが崩れるおそれがある
月齢や年齢ごとに推奨されるお昼寝時間の基準はあるものの、必要な睡眠時間には個人差があります。
可能な限りそれぞれの事情に配慮しようと思っても、ほとんどの状況でクラス・グループ単位で行動する保育園では、お昼寝も全員一緒になってしまうことがほとんどでしょう。
また、子どもによってはお昼寝が必要でない場合もあるため、お昼寝をしてしまうと、夜に眠れなくなるおそれも考えられます。
お昼寝は何歳まで必要?
お昼寝が何歳頃まで必要なのかは個人差があるため一概にはいえませんが、満5歳を迎える頃には、お昼寝を必要としなくなることが多いとされています。
預ける時間が長い保育園においても、就学時期が近づくにつれてお昼寝をしないところが増えているようです。
また、保育園ごとに子どもの特性や園の事情に合わせて柔軟な対応をする場合もあります。
家庭でも使える3つの寝かしつけテクニック
家庭でも使える寝かしつけのテクニックは、以下の3つが挙げられます。
- 添い寝する
- トントンする
- 子守唄をうたう
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.添い寝する
添い寝は、保育園のお昼寝時間になかなか寝付けない子どもが喜ぶテクニックのひとつです。お互いの体を寄せ合い体温を伝えるようにします。
また寝たふりをして、わざと寝息をたててみせるように振る舞うこともあるでしょう。
さらに、寒い冬の季節は脇に子どもの腕を挟む・脚をからませるようにすると、手足が温まるため、スッと寝入ることが多いようです。
2.トントンする
子どもをお昼寝させるために、背中や肩、お腹など体の一部を一定のリズムで優しくトントンするのも有効な方法です。
子どもの呼吸に合わせるように一定のリズムで優しく叩いてあげるとよいでしょう。また、子どもによってはすこし強めにトントンと叩かれるのが好きな場合があります。
優しくトントンしても眠れなさそうにしている場合、子どもの様子をよく見ながら、強弱をつけてみてください。
3.子守唄をうたう
保育園のお昼寝は、クラスごとに時間をずらして行うことが一般的です。しかし、室内が静かすぎると、廊下などから聞こえるほかのクラスの声や物音が気になり、入眠しづらいこともあるでしょう。
そのため、室内を無音の状態にせず、優しく子守歌を歌って気をまぎらわせてあげるのが、寝かしつけのテクニックといえます。いつもより穏やかな声を意識し、ゆっくり歌うと子どもはすぐに眠ってしまうでしょう。
保育園のお昼寝時間に関する2つの質問
保育園のお昼寝時間に関する質問には、以下の2つが挙げられます。
- 質問1.一般的にお昼寝は何時頃から始まりますか?
- 質問2.保育園のお昼寝で気を付けることはありますか?
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
質問1.一般的にお昼寝は何時頃から始まりますか?
保育指針のなかには「お昼寝の時間をどのように設定するのか」について、具体的な記載はありません。
そのため、何時からどれくらいのお昼寝時間をを設けるかについては、保育園ごとの判断に委ねられています。
しかし一般的には、12時半頃から15時頃をお昼寝の時間としていることが多いようです。
質問2.保育園のお昼寝で気を付けることはありますか?
保育園のお昼寝で気をつけることには、うつぶせ寝による窒息・乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症などへの配慮です。
うつぶせ寝は窒息してしまう原因となることや、乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症のリスクを高めてしまうため、最新の注意を払わなければなりません。
2016年に内閣府から発表されたガイドラインにおいても、以下のような記述が見られます。
- 医師からうつぶせ寝をすすめられている場合以外、乳児の顔が見える仰向けに寝かせることが重要
お昼寝は子どもたちが寝る体勢に目を配り、うつぶせになっている子どもがいれば仰向けに直してあげることが重要です。
参考:教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン
まとめ
保育園のお昼寝時間に関することを解説しました。お昼寝は保育園での疲労を回復する目的があります。しかし必要な睡眠時間には個人差が大きく、子どもによってはストレスに感じてしまうこともあるでしょう。
可能な限り、個人に適した睡眠時間・環境を整えてあげるように意識することが大切です。また、家庭でも使える寝かしつけのテクニックについても解説しましたので、家庭で実践してみてください。
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