子ども・子育て拠出金は子育て支援や児童手当の財源に充てられる税金で、事業主や企業に全額負担する義務があります。本記事では、子ども・子育て拠出金の使用用途や仕組み、拠出金率について解説します。
子ども・子育て拠出金とは?
子ども・子育て拠出金とは、子育て支援や児童手当の財源として徴収される税金です。厚生年金保険適用事業所の事業主が保険料を納めるときに一緒に納付されています。
健康保険や厚生年金は、労使で折半して払いますが、子ども・子育て拠出金は事業主が全額負担することになっています。
児童手当とは
子ども・子育て拠出金は、児童手当の財源の一部として割り当てられています。児童手当は、国の子ども・子育て支援の一環として、安定的な養育や成長をサポートする目的で支給されています。
支給対象は、0〜15歳までの子どもがいる家庭です。会社員は自治体から、公務員は勤務先から支給されています。
子ども・子育て拠出金の主な用途
子ども・子育て拠出金は児童手当の財源以外にも、地域の子育て支援事業や児童クラブ、病児保育、親子交流事業、育児相談、妊婦健診など、あらゆる子育てに関する支援事業の予算に充てられています。
また仕事と子育て両立支援事業として、企業内保育事業やベビーシッター利用者への助成などにも活用されています。
子ども・子育て拠出金における仕組み
子ども・子育て拠出金における仕組みは、以下2つに分けると理解しやすいでしょう。
- 対象者の条件
- 徴収方法
子ども・子育て拠出金は事業主や会社から幅広く徴収する仕組みにすることで、社会全体で子育て支援にかかるお金を負担する考え方に基づいています。
対象者の条件
子ども・子育て拠出金を支払う対象者の条件は「厚生年金加入者」で、厚生年金に加入する従業員を抱えている企業すべてに納税義務が発生します。
「子ども・子育て」との名目がついているため、間違えやすい点ですが、従業員の子どもの有無や未婚・既婚は関係なく、厚生年金加入者全員が対象とされています。
徴収方法
子ども・子育て拠出金は毎月発生し、企業が拠出金を全額負担します。健康保険料や厚生年金と一緒に徴収されており、日本年金機構から送付される納入通知書や銀行口座からの引き落としにて納付します。
企業が全額負担するため、従業員から天引きされることはありません。
子ども・子育て拠出金における拠出金率の推移
子ども・子育て拠出金における拠出金率は、2022年時点では「0.36%」ですが、今後段階的に引き上げられる予定です。
ただし上限は0.45%と定められています。2012年から現在までの拠出金率の推移は以下の通りです。
年度 | 拠出金率 |
2020年〜2022年 | 0.36% |
2019年 | 0.34% |
2018年 | 0.29% |
2017年 | 0.23% |
2016年 | 0.20% |
2012〜2015年 | 0.15% |
仕事と子育ての両立や待機児童問題の解決など、子育てに関する支援の必要性が高まっていることから、ここ数年で拠出金率が上昇傾向にあります。
子ども・子育て拠出金の計算方法
子ども・子育て拠出金は、従業員の標準報酬月額に、拠出金率を掛け合わせて算出します。
標準報酬月額とは、保険料の計算などに使われる区分です。たとえば、 給与が月額25万円だった場合、標準報酬月額が260,000円の区分に該当します。26万円に税率をかけて子ども・子育て拠出金を計算します。
計算式は「標準報酬月額×拠出金率」となるため、2022年度の拠出金率0.36%を、月額25万円の標準報酬月額にかけると、子ども・子育て拠出金は以下のように算出されます。
- 260,000円×0.0036=936円
子ども・子育て拠出金は936円となり、社会保険料と一緒に納付します。
まとめ
子ども・子育て拠出金は、児童手当の財源や、子育て支援事業の資金として使われています。従業員の未婚・既婚や子どもの有無を問わず、事業主や企業が全額負担し、納付が義務付けられています。
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