保育園の入園には「保育の必要性」を自治体に認めてもらう必要があります。保育の必要性は世帯の状況によって点数化されるため、就労だけでは希望する保育園に入所できない可能性もあります。
この記事では保育園入園における点数計算のシュミレーションや、点数を上げるためにできることについて紹介します。
保育園へ入園するための点数とは何?
保育園へ入園するには「保育の必要性」を自治体に認めてもらう必要があります。保育の必要性は世帯の状況によって点数化され、点数が高い順に希望する保育所へ入所できる仕組みです。
そのため、入園希望者が多い地域や保育園では点数が高く、優先順位が高い家庭から希望する園への入園許可が下ります。まずは自分の世帯の点数を算出し、状況を把握しましょう。
ここでは保育園へ入園するための点数について、基準指数と調整指数について解説します。
基準指数
基準指数とは、親の勤務状況や健康状態などを点数化したものです。たとえば、勤務状況ではフルタイムやパートタイマー、フリーランスなど勤務日数や労働時間に関することを点数化します。
また健康状態については、持病や障がいの有無、家族の介護などが加点対象です。自治体によっては基準表をWebサイトで公開していることもあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
調整指数
調整指数とは、家庭の状況に合わせて点数を加減するものです。基準指数が同点だった場合に、保育の必要性がより高いと判断するための指標といえます。
兄弟の有無や子どもを保育できる同居親族など、家庭環境が点数に反映されます。加減点の例は以下の通りです。自分たちの世帯が該当する項目がないかを事前に確認しておきましょう。
加点対象 | 保育園を利用している兄弟がいる仕事をしていて、ベビーシッターの利用実績があるひとり親世帯 |
減点対象 | 同居親族がおり、子どもを保育できる自営業で子どもの世話をしながら仕事できる |
保育園入園における点数計算のシュミレーション
保育園入園における点数計算をシュミレーションしてみましょう。
ここでは練馬区の指数表を基に点数を算出します。指数に関する要件は自治体ごとに定められていますので、詳細内容は自治体のWebサイトを確認してください。
参考:練馬区保育実施基準表
基本指数の計算方法
基準指数は、主に仕事や疾病、障がい、介護に関することが点数化されます。練馬区の保育実施基準表の“就労”を参考にすると、以下のように定められています。
- 月20日以上・1日あたり8時間以上:40、7時間以上8時間未満:37、6時間以上7時間未満:34
- 月16日以上19日以下・1日あたり8時間以上:37、7時間以上8時間未満:34、6時間以上7時間未満:31
仕事に割く時間が多いほど、基準指数が高くなることがわかるでしょう。父親が月20日以上1日8時間就労し、母親が月20日以上6時間の時短勤務としている場合の基準指数は以下の通りです。
- 父親:40、母親:34、合計74点
両親ともにフルタイムで就労している場合は「40+40」で80点となり、両親のうちどちらかが時短勤務を利用している世帯よりも基準指数は高くなります。また、離婚や死別などひとり親世帯の場合は、40点が加算されます。
調整指数の計算方法
調整指数にはさまざまな項目が設定されており、練馬区の保育実施基準表の一部を参考にすると、以下のような条件が定められています。
- 世帯に係る調整指数
ひとり親世帯:8、生活保護世帯:2、未就学児童が3人以上いる:2
- 児童に係る調整指数
障がいまた特別な配慮を必要とする:12、同居予定の65歳未満の祖父母が保育できる:-4
先に計算した基準指数に世帯の状況から算出した調整指数を加減し、自分の世帯の点数を把握できます。
保育園入園における判断点数の計算方法
保育園入園には基準指数と調整指数を合計して、点数が高いほど優先的に入園できます。
ここまで紹介してきた指数を例に挙げると、以下のように点数が算出できます。
- A:両親ともに月20日以上フルタイム勤務、65歳未満の祖父母が同居している:80-4=76
- B:両親ともに月20日以上フルタイム勤務、障がいまた特別な配慮を必要とする:80+12=92
- C:シングルマザー、月20日以上6時間以上勤務、ひとり親世帯:74+8=82
上記ではBの世帯が最も点数が高くなり、希望する保育園へ入園できる可能性が高いといえます。
希望する保育園に入園するために点数を上げる3つの方法
希望する保育園に入園するために点数を上げる方法には、以下の3つが挙げられます。
- 方法1,自身の働き方を見直す
- 方法2.ベビーシッターサービスを活用する
- 方法3.一時保育や認可外保育施設を利用する
通いやすい立地や保育内容がよい保育園は人気が高く入所するのは困難です。少しでも点数を上げるためにできることを見ていきましょう。
方法1,自身の働き方を見直す
基準指数は、親の就労状況が大きく影響します。そのため、育休明けに保育園入園を考えた場合は、自身の働き方を見直すと点数を上げられるでしょう。
たとえば、時短勤務ではなくフルタイムで復職する、パートタイムの仕事を複数掛け持ちするなどが挙げられます。
勤務時間や雇用形態に関することは、一度決めてしまうと変更が難しい場合が多いため、事前にしっかりと検討しましょう。
方法2.ベビーシッターサービスを活用する
希望する保育園に入れない場合や自営業の人は、ベビーシッターサービスを活用すると点数が上がることにつながります。
ベビーシッターサービスを継続的に利用すると、受託証明書を発行してもらえる事業所があります。受託証明書を申し込み書類に添付することによって調整指数が加算され、人気のある保育園へ通える可能性を高められるでしょう。
方法3.一時保育や認可外保育施設を利用する
一時保育や認可外保育施設の利用も点数を高めることにつながります。自治体によって基準は異なりますが、就労のために一時保育・認可外保育施設を利用すると、加点対象となる場合が多いようです。
そのため、1年間は認可外保育施設を利用し、翌年に認可保育所を申し込むと希望する保育園に入園できる可能性を高められます。事前に住んでいる自治体のWebサイトをチェックして、これらの施設の利用を検討するとよいでしょう。
点数を上げる以外にできる3つのこと
点数を上げる以外にできることには、以下の3つが挙げられます。
- 希望する保育園を変える
- 新設の保育園を狙う
- 必要書類に嘆願書を添付する
ここでは点数を上げる以外にできることについてそれぞれに分けて解説しますので、見ていきましょう。
1.希望する保育園を変える
世帯の点数を計算し希望する保育園を検討するのも、保育園に入所できる可能性を高める方法です。
特に、人気が高い保育園は希望者が殺到しやすい傾向にあります。前年度の倍率などを参考にして、入所しやすそうな保育園に絞って申し込むと、決まりやすいでしょう。
また、第一希望が集中している保育園以外の園を第一希望にすると、希望が通りやすい傾向にあります。
2.新設の保育園を狙う
新設された保育園は人気が高く、申し込みが集中する場合もあります。ただ4月以外の時期に開園する場合などは、希望者の母数が少なく狙い目となる場合が多いようです。
ただし新設される保育園は見学ができないことも多く、それがネックとなって申し込み数が少ない可能性もあります。
倍率が高い0歳児入園を考えているが、自分の点数があまり高くないと感じる世帯は新設の保育園を検討してみてもよいでしょう。
3.必要書類に嘆願書を添付する
保育園に申し込む際、「なぜ保育園に入園しないといけないのか」について記載した嘆願書を添付する世帯もあるようです。
嘆願書は入園の可否に影響しないといわれています。あくまでも「保育の必要性」は点数によって判断されるため、世帯ごとの事情は考慮されにくいことがその理由です。
できることを全てしたうえで、これ以上の点数アップを見込めない場合は嘆願書を添えて提出してもよいでしょう。
まとめ
保育園へ入所するには、自治体から保育の必要性を認めてもらう必要があります。さらに、自治体ごとに定められた基準から点数が算出され、保育の優先順位が決定されます。まずは自分の世帯がどれくらいの点数なのかを公開されている情報から計算しましょう。そのうえで、入園を希望する保育園に入れるのかを検討してみてください。
もし入園が難しいと判断できた場合は、認可外保育園・ベビーシッターサービスを利用して調整指数を加算できるように行動しましょう。また新設の保育園や第一希望が集中している園以外を検討するのもおすすめです。
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