子育てに最適な環境に住みたいと、移住を検討する家庭が増えています。近年では、リモートワークなどの普及により、居住場所にも制限が少なくなりました。
この記事では、田舎と都会における子育て環境のメリット・デメリットを紹介します。移住する際のポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
田舎と都会の主な違い
子育てするのに田舎と都会どちらが適しているか悩むママパパも多いです。田舎と都会にはどのような違いがあるか、次の2つの視点から紹介します。
- 生活環境
- 教育環境
それぞれ詳しくみていきましょう。
生活環境
都市部では、公共交通機関の多さとさまざまな子育て支援が生活を支えます。交通の利便性と子育てサービスの充実は、忙しい日常を効率的にこなす大きな助けとなるでしょう。
対照的に、田舎の生活は物価の低さや自然豊かな環境が魅力です。家賃の安さや自然を活用した遊びが、子どもたちの豊かな想像力を育む良い機会となります。また、のんびりとした田舎の暮らしは、家族でゆったりとした時間を過ごすのに最適な環境を提供します。
教育環境
都市部は、さまざまな学校、塾、予備校の選択肢に加え、図書館や美術館など文化施設の多さも際立っています。これらの教育環境の充実度は、教育の質を重視する家庭にとって魅力的な選択肢となるでしょう。
一方で、田舎の教育は、豊かな自然ならではの経験や知識を身につけられる点が魅力です。自然と触れ合う中で、子供たちは生きる力や創造性、環境への理解を深めることができます。
都会で子育てをする3つのメリット
ここでは、都会で子育てをするメリットを紹介します。主に次の3つです。
- メリット1.教育体制が整っている
- メリット2.学びの選択肢が多い
- メリット3.子育て支援が充実している
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
メリット1.教育体制が整っている
都会は、教育施設が駅前を中心に充実しており、大手塾や予備校が集まる傾向にあります。これに加え、英会話、ピアノ、体操など興味関心を持つ習い事教室が豊富にあり、子どもの好奇心や学習ニーズに合わせて最適な教室を選択できる環境を享受しています。
また、幼稚園や小学校受験の準備をサポートする教育機関も存在し、その教育体制の充実ぶりは、田舎と比較して顕著です。このように都会では、子どもたちの教育に対するあらゆる要望に応えるさまざまな選択肢が整っているのです。
メリット2.学びの選択肢が多い
公立、私立の選択肢に加え、中高一貫校やインターナショナルスクールなど、都会には特色ある教育機関が集まっています。また、大手の学習塾や予備校も主要駅周辺に集中し、充実した学習支援が受けられます。
交通の利便性も都市部の学びの選択肢を増やす要因です。バスや電車の交通の便が良いため、子どもたちが自分で学校や塾へ移動でき、自宅から離れていても学びの場が広がります。
メリット3.子育て支援が充実している
都会は、子育て支援がとても充実しています。児童館や子育てセンターなどでは、さまざまなイベントや季節ごとの活動が盛んに行われており、子育て世代にとって心強い存在です。
さらに、都会ではベビーシッターサービスや家事代行サービス、子育てを支援するボランティア活動などの支援も利用可能です。これらのサービスは、日々の生活の中で少しでも負担を軽減し、子育てがより楽しく、また少し楽になるよう支援してくれます。
都会で子育てをする2つのデメリット
都会で子育てをするメリットがある一方で、デメリットも存在します。主に次の2つが挙げられます。
- デメリット1.お金がかかる
- デメリット2.競争社会にストレスを感じやすい
こちらもそれぞれみていきましょう。
デメリット1.お金がかかる
都会は、充実した教育環境の恩恵を受ける一方で、それに伴う費用も無視できません。
特に、学費に関しては、私立学校を選ぶ場合、公立学校に比べて著しく高額になる傾向があります。これは、塾や習い事の費用にも言えることで、教育への投資は家計にとって大きな負担となり得ます。
さらに、都会での生活は、住居費や食費など、一般的な生活費も地方に比べて高くつきます。消費者物価地域差指数を見ると、都心部は全国平均を上回り、物価の高さが顕著です。
家賃の高さは、教育費に割り当てられる予算にも影響を及ぼし、高い家賃を払っても得られる住空間は地方に比べて狭くなりがちです。これは、広々とした環境で子育てをしたい家庭にとって、大きな課題となるでしょう。
デメリット2.競争社会にストレスを感じやすい
都市部に密集した人口と教育環境は、受験競争が激化する傾向にあります。多くの子どもたちがはやくから受験を意識し、時には親しい友人とも競争する状況に直面します。これにより、学業成績の比較が日常化し、子どもたちの心にストレスとして蓄積されるのです。
ある程度の競争心は子どもの成長に役立つ要素ですが、過剰な競争は逆効果をもたらす恐れがあります。
田舎で子育てをする3つのメリット
続いて、田舎で子育てをするメリットを紹介します。主に次の3つです。
- メリット1.自然と触れ合える
- メリット2.物価や家賃が安い
- メリット3.待機児童が少ない
それぞれ詳しくみていきましょう。
メリット1.自然と触れ合える
子どもの成長において、自然とのふれあいは計り知れない価値を持ちます。自然にふれる体験は、子どもたちの感覚を豊かにし、集中力の向上や精神の安定につながるのです。
国立青少年教育振興機構の研究によると、自然の中で遊ぶ子どもは、自己肯定感が高く、社会での生活に必要なスキルが向上すると報告されています。また、自然環境での遊びは、子どもたちの免疫システムを強化し、将来的に健康な体を維持する助けとなるとも言われています。
さらに、自然での遊びは、子どもたちが大人になったときの環境保護への意識や行動にも肯定的な影響を与えることが示されました。このように、自然とのふれあいは、子どもたちの身体的、精神的な健康はもちろん、社会全体にとっても有益な影響をもたらします。
メリット2.物価や家賃が安い
田舎は、都会に比べて生活費を低く抑えられます。家賃や不動産の価格が安いため、その分子どもの教育投資や家族の生活質の向上に充てることが可能です。
低い物価と家賃により、家庭は教育や余暇活動により多くの資源を割り当てる余地を得ることができ、全体として豊かな生活を送りやすくなります。
メリット3.待機児童が少ない
人口密度が低い地方では、都会のように待機児童の問題が少なく、「待機児童ゼロ」を達成している地域も存在します。これは、共働き家庭にとって大きなメリットです。
地方自治体が保育園の増設に力を入れている場合も多く、子育て支援の体制も整っています。入園競争のプレッシャーが少ない田舎は、子育てをする家族にとって魅力的な選択肢と言えるでしょう。
田舎で子育てをする2つのデメリット
田舎で子育てをするのはメリットだけでなく、デメリットも存在します。主に次の2つが挙げられます。
- デメリット1.施設が少ない
- デメリット2.学びの選択肢が少ない
項目ごとに詳しくみていきましょう。
デメリット1.施設が少ない
田舎は、文化施設やアミューズメントの数が少ないところも多く、日常的に活用する施設は限られます。例えば、クラシック音楽のコンサートや充実した蔵書を持つ図書館の利用が難しいなど、幼い時期から子どもにさまざまな文化体験をさせたいと考える親にとっては適さない環境かもしれません。
加えて、遊園地や屋内アスレチック場などのレジャー施設も少なく、家族のお出かけには遠出が必要になる場合もあります。
デメリット2.学びの選択肢が少ない
田舎では、習い事の種類に関しては選択肢が限られる傾向にあります。都市部で見られるプログラミング教室、バレエやボルダリングのような特殊なスポーツ教室は少なめです。
さらに、習い事の場が限られているため、社交の幅も狭まり、子どもの交友関係の多様性に影響を与えることが懸念されます。地方での生活には多くの魅力がありますが、教育や習い事の選択肢の幅に関しては、都市部と比較して制約があることを認識しておくことが重要です。
田舎や都会に移住する際のポイントは3つ
田舎と都会におけるそれぞれのメリット・デメリットを理解したところで、次は移住する際のポイントを紹介します。
- 移住した人から話を聞く
- 支援制度を活用する
- デメリットにも目を向ける
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
1.移住した人から話を聞く
移住を検討する際は、不安や疑問を解消するために、すでに移住を経験した人の話を聞くことが非常に有益です。移住後の生活に満足しているか、どのような課題があったかなど、実体験に基づく情報は貴重な参考になります。
移住先を特定している場合は、その地域の自治体やNPOによる移住相談会への参加がおすすめです。これらの会では、先に移住した人の話を直接聞けるチャンスがあり、具体的な生活の様子や移住前に知っておくべきことが明確になります。
もし移住先がまだ決まっていないなら、複数の自治体が集まる移住相談フェアに足を運ぶのが良いでしょう。ここでは、さまざまな地域の特色や支援制度を比較検討でき、自身や家族に最適な場所を見つける手助けとなります。オンラインで開催されるイベントも多く、幅広い選択肢から情報収集が可能です。
さらに、「お試し移住」制度を設けている自治体もあり、実際に一定期間その地域で生活してみることで、地域の雰囲気や地元住民との交流、就業体験などを通じて、実際の生活を体験することができます。
2.支援制度を活用する
多くの自治体が、移住者を対象にさまざまな支援制度を展開しており、これらを上手く利用することで、移住に伴う経済的負担を大きく軽減することが可能です。これには、引越し費用の補助から、住宅提供まで、幅広い支援が含まれます。
このような支援を活用するには、事前のリサーチが重要です。家族構成やライフスタイル、将来の計画に合わせて、最適な移住先を見極めましょう。
自治体のウェブサイトや移住相談会などを通じて、具体的な支援内容や条件を確認し、自身の状況に最も合った支援制度を見つけることが、成功への鍵になります。
3.デメリットにも目を向ける
移住を検討する際、新しい生活環境の魅力に心惹かれがちですが、メリットだけでなく、デメリットにも注意を払うことが重要です。例えば、人口が少ない地域では子どもが自由に遊べる環境がある一方で、遊び場所の選択肢が限られていることが子どもの不満に繋がる可能性があります。
都会と田舎における両方のデメリットを理解し、家族のニーズに合った環境を選択することが大切です。これにより、移住後に後悔するリスクを最小限に抑え、より満足度の高い新生活を送ることができます。
子育て 田舎 都会でよくある3つの質問
最後に、よくある質問にお答えします。
- 質問1.子育てで「都会から田舎へ」または「田舎から都会へ」移住する際の注意点は？
- 質問2.子育てしやすいおすすめの県は？
- 質問3.結局、子育てには田舎と都会のどちらがいいの？
それぞれ詳しくみていきましょう。
質問1.子育てで「都会から田舎へ」または「田舎から都会へ」移住する際の注意点は？
子育て家庭が「都会から田舎へ」あるいは「田舎から都会へ」移住するケースでは、幾つかの点を考慮する必要があります。
【都会から田舎への移住】
田舎では、子どもが外で自由に遊べる環境が豊かです。勉強の習慣を維持しつつ、自然を活かした育児を行うことが可能です。その一方で、教育機関の充実度や医療施設へのアクセスは、都会と田舎で異なります。進学先の選択肢や塾の利用、必要な医療サービスが提供されているかどうかは、移住前に調査することが重要です。
【田舎から都会への移住】
都会の生活は、教育、イベント、進学に関してより多くの費用がかさむ傾向です。子どもが特定のスポーツや学問を深く極めたいときに、選択肢に制限が生じないよう、十分な財政計画を立てましょう。
質問2.子育てしやすいおすすめの県は？
日経xwomanと日本経済新聞社が実施する「自治体の子育て支援制度に関する調査」によると、2023年版「共働き子育てしやすい街ランキング」は次のとおりになりました。
| 順位 | 自治体名（都道府県名） | スコア |
| 1位 | 松戸市（千葉県） | 84点 |
| 2位 | 宇都宮市（栃木県） | 83点 |
| 3位 | 豊橋市（愛知県） | 82点 |
| 4位 | 神戸市（兵庫県） | 81点 |
| 5位 | 羽村市（東京都） | 80点 |
| 6位 | 豊島区（東京都） | 79点 |
| 7位 | 市川市（千葉市） | 77点 |
| 8位 | 北九州市（福岡県） | 76点 |
| 8位 | 仙台市（宮城県） | 76点 |
| 8位 | 福島市（福島県） | 76点 |
引用：2023年版「共働き子育てしやすい街ランキング」 総合編1位は千葉県松戸市に｜日経BP
総合1位の千葉県松戸市では、約6000世帯の未就園児を持つ家庭に対してアンケートを実施して育児ニーズを把握し、家庭訪問する保健師や、市内28箇所に設置された子育て支援拠点の子育てコーディネーターと連携しています。
また、妊婦や2歳未満の子どもを持つ家庭への孤立防止策として、家事や育児のサポートを提供するヘルパー派遣サービス（有料）も行っています。これらの取り組みにより、松戸市は子育てしやすい環境を実現しており、子育て家庭にとって推薦できる県の一つと言えるでしょう。
質問3.結局、子育てには田舎と都会のどちらがいいの？
子育てをする上で、都会の利便性と田舎の自然環境、それぞれが持つ利点と欠点を理解し、受け入れることができるかが重要となります。親がこれらの環境を上手く利用し、育児に対するポジティブな姿勢を持つことが、子どもにとって最良の成長環境を提供するコツです。
また、子どもの成長段階に応じて居住地を選択することも有効な手段です。例えば、幼少期には自然豊かな田舎でのびのびとした育児をし、学齢期に入ったら教育機会が豊富な都会へ移住するという選択も考えられます。
このように、「教育を優先する時期」と「自由に遊ばせたい時期」を見極め、子どもの成長に合わせた環境を選択することで、子育ての質を最大化させることが可能です。
まとめ
田舎も都会も、それぞれが持つ環境の特性を活かすことで、子どもに豊かな選択肢を提供できます。子どもの個性や未来の夢を考慮し、最適な育児環境を選ぶことが重要です。
また、今までは親の職業が居住地を大きく左右していましたが、近年ではリモートワークの普及やフリーランスとしての働き方が増えています。これにより、子育て環境を重視して居住地を選ぶ柔軟性も高まりました。
移住を検討する際は、メリットとデメリットをしっかり比較して家族みんなが満足する計画を立てましょう。
コメント