育児休業中の社会保険料は免除?免除になる期間や金額、手続きの流れまで詳しくご紹介!

子育て

育児休業中の社会保険料は、免除される制度があるのをご存じでしょうか。この制度を活用すれば、経済的な負担を軽減しながら、育児に専念できます。

本記事では、育児休業中の社会保険料は免除されるのか、免除になる期間や金額、手続きの流れをご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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育児休業中の社会保険料は免除?

育児休業中の社会保険料は免除?

育児休業を取得している期間中に、健康保険や厚生年金保険の保険料は、事業主が年金事務所に申請すれば、被保険者および事業主の双方の負担が免除されます。これは、「育児・介護休業法」にもとづき、3歳未満の子どもを育てるための育児休業を取得した場合に適用されます。

育児・介護休業法による満3歳未満の子を養育するための育児休業等期間について、健康保険・厚生年金保険の保険料は、被保険者が育児休業の期間中に事業主が年金事務所に申し出ることにより被保険者・事業主の両方の負担が免除されます。

引用:厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)|日本年金機構

しかし、保険料は自動的に免除されないため、事業主が事前に適切な手続きをしなければなりません。トラブルを避けるためにも、事前の準備と確認を怠らないようにしましょう。

2022年10月に法改正が実施済み

2022年10月から、育児・介護休業法の改正に伴い、育児休業中の社会保険料についてのルールも変更されました。従来は、月末時点で育児休業を取得している場合、その月の給与や賞与に対する社会保険料が免除されていました。

また、賞与月の月末に育児休業を取得すれば、社会保険料を免除する目的で育児休業の開始月を選ぶケースも少なくありません。これらの問題点を解消するために、同じ月内に14日以上育児休業を取得した場合、その月の社会保険料が免除されます。

さらに、賞与に係る保険料については、1月を超える育児休業を取得している場合に限り免除の対象です。たとえば、12月2日から12月15日まで育児休業を取得した場合、14日以上の取得期間となるため、社会保険料が免除されます。

参照:令和4年10月から育児休業等期間中における社会保険料の免除要件が改正されました|日本年金機構

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社会保険料が免除になる期間

社会保険料が免除になる期間

育児休業を開始した月から、その終了日の翌日が含まれる月の前月までの社会保険料が免除されます。また、同一月内に14日以上の育児休業を取得した場合、その月の社会保険料も免除になります。

たとえば、9月15日から11月30日まで育休を取る場合、9月分と10月分の社会保険料が免除されて、11月分は対象外です。この免除は月単位で計算されるため、日割り計算はされません。

また、育児休業中の社会保険料が免除されても、将来の年金額には影響するわけではありません。

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社会保険料として免除される金額

社会保険料として免除される金額

社会保険料の免除額は、年収に応じて異なります。なお、東京都の場合の代表的な年収の保険料額については、以下のとおりです。


年収
全国健康保険協会管掌保険料厚生年金保険料
全額折半額全額折半額
240万円19,680円9,840円36,600円18,300円
360万円27,552円13,776円51,240円25,620円
492万円40,344円20,172円75,030円37,515円

出典:令和3年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表

それぞれの免除額の計算は、以下の方法で求められます。

  • 健康保険料=全国健康保険協会管掌保険料の折半額×免除対象期間
  • 厚生年金保険料=厚生年金保険料の折半額×免除対象期間

この計算は自己負担分のみを対象としており、給与の支給額などにより若干の差異が生じる可能性があります。

産休・育休中は社会保険料が免除されますが、一般的には会社からの給与支払いはなく、健康保険組合や共済組合から給与より少ない金額で出産手当金が支給されます。

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社会保険料免除のための手続きの流れ

参考:(日本年金機構)【分割版8】健康保険・厚生年金保険事務手続きガイド(産前産後休業・育児休業を取得したとき)

次は、社会保険料免除のための手続きの流れについて解説します。

  • ステップ1.事業主に取得を申し出る
  • ステップ2.事業主が申出書を年金事務所へ提出
  • ステップ3.保険料の免除が開始される

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

ステップ1.事業主に取得を申し出る

育児休業や産前産後休業の取得手続きについては、被保険者が事業主に対して適切な時期に申請しなければなりません。産前産後休業の申請は、妊娠や出産を理由に休業する42日(多胎妊娠の場合は98日)および産後56日以内の申請が求められます。

育児休業の申請については、3歳未満の子どもを養育する期間に対してですが、1歳未満や1歳〜1歳6か月未満、1歳6か月から3歳未満のそれぞれの段階で条件を満たす必要があります。育児休業を産前産後休業と連続して取得する場合は、産前産後休業の前に事前申請が必須です。

また、育児休業の開始日と終了日が同じ月である場合には、希望日数を明記しなければなりません。さらに、同一月内に複数回取得する場合は、最後の休業時に書類をまとめて提出しましょう。

ステップ2.事業主が申出書を年金事務所へ提出

事業主は、育児休業を申請した従業員からの申し出を受け取ると、健康保険組合や日本年金機構に「育児休業等取得者申出書」を提出しなければなりません。この申出書が受理されると、日本年金機構から事業主に対して確認通知書が送られます。

事業主は、この通知書に記載された産前休業の開始日と産後休業の終了予定日を確認し、正確な情報を従業員に伝えます。

ステップ3.保険料の免除が開始される

被保険者が休業を取得した場合、その月から休業終了の翌月の前月までの期間は、社会保険料が免除されます。たとえば、休業開始日が4月15日で、終了日が10月10日であれば、4月から9月までが免除される期間です。

免除期間中は、被保険者本人だけでなく、事業主が負担している社会保険料も免除されます。また、免除期間は納付記録に残り、受給資格期間としてもカウントされるため、将来的な年金の給付に影響は与えません。

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育児休業中の社会保険料免除でよくある3つの質問

育児休業中の社会保険料免除でよくある3つの質問

最後に、育児休業中の社会保険料免除でよくある質問について紹介します。

  • 質問1.免除による年金への影響は?
  • 質問2.育児休業が早く終了した場合の手続きは?
  • 質問3.育児休業給付とは?

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

質問1.免除による年金への影響は?

厚生年金や国民年金の免除期間中も、保険料を納めたものとして計算されるため、受給額が減るケースはありません。また、育児休業中に保険料が免除される場合も同様に、年金受給額に影響はありません。

この制度により、被保険者は安心して子育てや産前産後の休業に専念できます。社会保険料の免除期間中も、被保険者資格はそのまま維持されるため、安心です。

質問2.育児休業が早く終了した場合の手続きは?

従業員が当初の予定よりも早く職場に復帰する場合、事業主は日本年金機構の事務センターに「産前産後休業取得者変更(終了)届」と「育児休業等取得者終了届」を提出する必要があります。

これらの書類は共通記載欄と終了欄に必要事項を記入し、持参または郵送で提出されるのが一般的です。また、特別なケースを除き、追加申請は不要です。

質問3.育児休業給付とは?

育児休業給付は、育児休暇を取得中の会社員が申請すれば、受け取れる補助金です。この給付金は公的制度にもとづき、雇用保険から支給されます。

支給対象は、産後休暇終了翌日からで、申請手続きは勤務先を通じて進められます。具体的には、育児休業に入る前に申請書に署名して会社に提出し、その後、会社がハローワークに申請する流れです。

また、給付金は一般的に、2か月ごとにまとめて支給されるほか、希望すれば毎月の受け取りも可能です。初回の支給は、育児休業開始から2か月後で、さらに1〜2週間の審査後に振り込まれます。

なお、育児休業給付金はいつ受け取れるのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:育児休業給付金はいつ受け取れる?受け取る条件や支給額、手続きの方法まで詳しくご紹介!

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まとめ

まとめ

本記事では、育児休業中の社会保険料は免除されるのかや免除になる期間、金額、手続きの流れをご紹介しました。

育児休業中の社会保険料は、2022年10月の法改正により免除が認められるようになりました。これにより、3歳未満の子どもの育児に専念する期間中、健康保険や厚生年金保険の保険料は、事業主が年金事務所に申請すれば、被保険者および事業主の双方の負担が免除されます。

社会保険料が免除される期間は、育児休業を取得した月から休業終了日の前日までで、該当する社会保険料の全額が免除されます。さらに、同一月内に14日以上の育児休業を取得した場合、その月の社会保険料も免除の対象です。

また、産前産後休業の取得手続きについては、被保険者が事業主に対して、妊娠や出産を理由に休業する42日(多胎妊娠の場合は98日)および産後56日以内の申請が求められます。

育児休業の申請については、3歳未満の子どもを養育する期間に対してですが、1歳未満や1歳〜1歳6か月未満、1歳6か月から3歳未満のそれぞれの段階にて条件を満たす必要があります。事前に必要な書類を確認して、適切な期間に提出するようにしましょう。

なお、次のページでは、保育園1号・2号などの「認定」についてや利用できる施設の違い、申請の流れを解説しています。

関連記事:保育園1号・2号などの「認定」とは?利用できる施設の違いや申請の流れを解説します!

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