共働き世帯が増加する中、夫婦それぞれの仕事と家事のバランスを考慮した家事分担が求められています。家事分担においては、双方の意見を尊重し、お互いの負担を公平にすることが重要です。
この記事では、共働き夫婦が抱える家事分担に関する負担や不満を解消し、円滑に家事を協力しあうためのコツを紹介します。家事分担にお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。
家事分担の現状は?
共働き夫婦は、どの程度の割合で家事を分担しているのでしょうか。また、子どもがいる家庭では、家事の分担比率にどのような変化が見られるのでしょうか。
ここでは、具体的なデータを用いて家事分担の現状を詳しく見ていきます。
共働き夫婦の場合
厚生労働省「令和2年版厚生労働白書 共働き等世帯数の年次推移」によると、1980年には共働き世帯が614万世帯、妻が専業主婦の世帯が1114万世帯でしたが、時が経つにつれ、共働き世帯が増加し、2019年には1245万世帯となりました。専業主婦世帯は582万世帯に減少しました。
しかし、内閣府男女共同参画局の「令和2年男女共同参画白書」では、共働き家庭における家事の負担は依然として女性が大きく、特に30代女性は1日あたり273分と最も多く家事を担っています。一方で、男性の家事分担時間は65歳以上で約65分、それ以下の年齢では約40分程度です。
この統計から、共働き世帯が増える一方で、家事・育児・介護の時間においては、女性が男性に比べて依然として多くの負担を担っている現状が浮き彫りになっています。
参照:内閣府男女共同参画局調査課|令和2年版男女共同参画白書
子どもがいる場合
内閣府男女共同参画局「令和2年男女共同参画白書」によれば、6歳未満の子どもがいる家庭では、共働き・専業主婦世帯問わず、家事・育児・介護の負担が増加しています。男性の家事分担に共働きと専業主婦世帯間の差は見られず、一日の仕事時間も大きな違いはなく約8時間40分〜9時間程度です。
対照的に、女性は仕事に約4時間〜4時間20分費やしており、男性の約半分の時間です。しかし、家事・育児・介護の面で女性の負担は男性よりも長く、多くの時間を割いています。
この傾向は国際的にも低い水準で、例えば米国(夫2時間53分)、スウェーデン(夫3時間21分)と比較しても、日本の男性の家事・育児分担時間は短いことが明らかです。
家事分担がうまくいかない理由
全国の既婚男女2,350名に対して、リンナイ株式会社が実施した「夫婦の家事分担」に関するアンケート調査では、それぞれの家庭での家事分担の割合について尋ねました。その結果、最も多かった回答は「妻が9割担う」(女性34%、男性28%)です。
一方で、「妻がすべての家事を担う」という回答は女性23%、男性8%と、男女間で大きな認識の差があることも明らかになっています。この調査により、夫婦間で家事分担に関する見解の違いが存在することが伺えました。
参考:「夫婦の家事分担」に関する意識調査 夫婦の家事分担「妻9割」夫の家事は限定的?
家事分担の現状が明らかになりましたが、なぜ上手く家事分担ができないのでしょうか。ここでは、夫と妻それぞれお互いにどのような点に不満を抱いているのかを紹介します。
夫目線のよくある不満
上の世代や職場からは家事を積極的に行う姿勢が理解されず、妻からはさらなる家事の協力を求められることに板挟みになっている方も少なくありません。また、家庭内での家事協力について、妻からの評価が低いと感じる方も多く、やる気を削ぐ原因になっていることもあります。
特に共通する不満として、妻からの細かいダメ出しや、仕事で疲れているにもかかわらず家事を求められることが挙げられます。加えて、何をどうしたらいいかわからず、家事スキルに自信がないために躊躇する夫もいます。
家事経験が少ない方には、簡単な家事も難しく感じるため、お互いの理解と歩み寄りが必要です。夫婦間でのコミュニケーションと相互理解を深めることが、家事分担における不満を軽減する鍵となるでしょう。
妻目線のよくある不満
家事分担に関する妻からの不満もさまざまな意見が見られます。多くの方は、自身が家事の大部分を担っているにもかかわらず、夫がその偏りに気づいていないことに不満を感じているようです。
また、夫が良かれと思って行った家事が妻の希望とズレているケースや、夫に対して具体的な指示を出さないと家事しないことも、ストレスの原因になっています。妻たちは、夫に自発的に気づいて家事に取り組んでほしいと望んでおり、言われるまで待つ夫の姿勢や、家事スキルの低さに対する不満も挙げられていました。
このような不満は、日々の疲労感やストレスの蓄積につながり、家庭内のコミュニケーションや関係性に影響を与える可能性があります。夫婦が家事分担について率直に話し合い、理解し合うことが重要です。
家事分担を成功させる7つのポイント
家事分担がうまくいかない理由を踏まえ、続いては家事分担を成功させるポイントを紹介します。主に次の7つです。
- 1.家事を見える化する
- 2.お互いの得意・不得意にあわせて担当する
- 3.ルールを決めておく
- 4.価値観をあわせる
- 5.楽しく協力しあう
- 6.完璧を求めすぎない
- 7.感謝の気持ちを伝える
それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
1.家事を見える化する
家事分担を成功させるためには、家事全体を見える化することが重要です。掃除、洗濯、日用品の買い足し、日々の小さな片付けなど、あらゆる家事をリスト化します。
リストを作成した後、夫婦でそれぞれの家事にかかる時間、頻度、労力について話し合い、共有しましょう。家事の全体量を把握し、夫婦間で認識のズレを防ぐためです。
何より大切なのは、名もなき家事も含めて可視化することです。たとえば「ごみ捨て」というタスクは、実際にはゴミを集めたり、分別したりといった多くの工程が含まれています。
家事のタスクを細かく書き出し、それを実行しているのが誰かを明確にすることで、家事負担の実態が見えてきます。家事分担に関する夫婦間の認識のギャップを埋める助けにもなるでしょう。
なお、次のページでは、今すぐ使える家事リストを紹介しています。家事分担にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:【2023年最新版】今すぐ使える家事リスト|作成するメリットや方法、上手く分担するコツをご紹介! – コカラ
2.お互いの得意・不得意にあわせて担当する
家事を効率的に進めるために、夫婦それぞれの得意・不得意を考慮して家事分担するとよいでしょう。得意な家事を担当することで、作業が効率的かつ正確になり、家事全体の負担が軽減されます。
たとえば、料理が得意な方が調理を担当し、整理整頓が得意な方が片付けを担当するなど、それぞれの強みを活かすことが大切です。
また、細分化した家事それぞれに、担当を決めるのも効果的です。たとえば、買い物や調理は一方が、食器の準備や皿洗いはもう一方が担当するなど、細かく分担することで、一つひとつの作業が気軽に取り組みやすくなります。
3.ルールを決めておく
夫婦間で、ルールを事前に決めておくのもポイントです。たとえば、家にいる時間が長い方が家事を担当する、収入比に応じて家事の配分を決めるなど、それぞれのライフスタイルに合わせたルールを設定するとよいでしょう。平日と休日で家事を分担する方法も有効です。
朝のゴミ出しや夕食の準備など、時間帯が決まっている家事は、それぞれのスケジュールに合わせて割り振ります。たとえば、朝早く出勤する方がゴミ出しを担当し、早く帰宅する方が夕食を作るなどが考えられます。
また、休日は共に買い物に行くなどして、家事の負担を分散させる工夫も効果的です。
4.価値観をあわせる
夫婦での家事分担において、価値観の違いが問題の原因となることがよくあります。
たとえば、洗い物をした後の流し台や床の水滴をどの程度拭くか、トイレ掃除で便器だけでなく蓋や床も掃除するかなど、家事の細かな内容についての認識が一致していないことが多いのです。家事の具体的な項目を明確に共有し、お互いの認識を一致させると家事に関するトラブルを減らせます。
また、家事に対するこだわりの度合いも家事分担の重要な要素です。掃除や洗濯、料理など、特定の家事に強いこだわりを持っている場合、その家事はこだわりの強い方が担当するとより効率的で満足度の高い結果につながります。
5.楽しく協力しあう
家事分担を楽しく協力しあう方法として、家事分担アプリの活用がおすすめです。
アプリは、家事の偏りを視覚的に示し、日常の見えない家事までタスクとして可視化する機能があります。中にはゲームのようにポイントを獲得する楽しさを提供するアプリもあり、家族全員が家事を把握しやすくなるため、協力し合いながら楽しく分担することが可能です。
さらに、家事を分担すると、片方の負担を減らすだけでなく、協力する側の生活スキルを向上させます。家事に関するコミュニケーションが増えるため、自然に会話も増え、お互いの考えをより深く理解するきっかけにもつながるでしょう。
なお、次のページでは、おすすめの家事分担アプリを紹介しています。実際にどんなアプリを使用したらよいかお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:【2023年最新版】おすすめの家事分担アプリ10選|利用するメリットや選ぶ際のポイントも解説! – コカラ
6.完璧を求めすぎない
家事を分担していく中で、完璧を求める必要はありません。
忙しい日々の中で、たまには夕食を総菜で済ませたり、掃除を少し後回しにしたりしてもよいのです。このような柔軟な姿勢が、家事に対するプレッシャーを減らし、気持ちに余裕をもたらします。
そして、危険がない限りは相手のやり方を尊重し、過度な介入は避けましょう。細かい指示や文句は相手のやる気を削ぎ、分担の効果を低下させます。
相手の方法について気になる点があれば、家事が終わった後にやんわりと話し合い、お互いの気持ちを理解し合うことが大切です。完璧な家事を目指すよりも、お互いが快適に生活できる範囲での協力を心がけることが、家庭内の平和につながります。
7.感謝の気持ちを伝える
相手が行った家事に対して感謝の気持ちを持ち、言葉で伝えましょう。たとえ日常の家事であっても、「ありがとう」「助かったよ」といった言葉は、相手の自己肯定感を高め、家事へのモチベーションを向上させます。
家事は「やって当たり前」という考えを避け、夫婦双方が主体的に参加し合い、感謝の気持ちを忘れないことが、円滑な家事分担のポイントです。相手からの感謝を受け取ることで、日々の家事もより前向きに取り組めるようになるでしょう。
家事の分担に関するよくある3つの質問
ここでは、家事の分担に関するよくある質問にお答えします。
- 質問1.共働き世帯における家事分担比率の理想はどれくらい?
- 質問2.家事負担を減らすコツは?
- 質問3.相手に「できない」と言われたら?
質問1.共働き世帯における家事分担比率の理想はどれくらい?
2009年の内閣府調査によると、共働き世帯の家事・育児分担に関する満足度は、夫婦間の分担比率によって変化が見られました。
男性の場合、「夫4割、妻6割」の分担で満足度が最高の86.5%になりますが、それ以上夫の分担割合が増えると満足度は下がる傾向にあります。一方、女性は「夫3割、妻7割」で82.2%、さらに「夫5割、妻5割」で95.6%と満足度が高まりますが、「夫6割以上、妻4割以下」では満足度が72.0%まで下がる結果となりました。
この調査から、「夫5割、妻5割」の均等分担が必ずしも理想ではなく、夫婦間で適切に分担することが重要であると示唆されています。
参考:第2章 4.(5)家事・育児の分担の満足度: 子ども・子育て本部 – 内閣府
質問2.家事負担を減らすコツは?
共働きの家庭では、家事の負担を軽減する工夫が必要です。以下の5つの方法で、家事の負担を減らすことができます。
- ネットスーパーを利用して、買い物の時間を削減する。
- 料理を作り置きして、毎日の調理時間を短縮する。
- 家電製品を活用し、家事の自動化を図る。
- 忙しい時は家事代行サービスを利用して、家事の負担を軽減する。
- 家事の内容を見直し、本当に必要な家事のみに絞る。
家事を楽にする方法は、次のページでも紹介しています。限られた時間の中で余裕を持つため、家事をいかに効率よくラクにするか、ぜひアイデアを参考にしてみてください。
関連記事:【2023年最新】家事を楽にする方法13選|家事をつらいと感じる理由やよくある質問もご紹介! – コカラ
質問3.相手に「できない」と言われたら?
パートナーから「家事ができない」という返答を受けた場合、ただ諦めるのではなく、解決策を探すことが重要です。男性が家事を敬遠する理由には、経験不足や時間不足、過去の失敗体験、効率性への考慮などがあります。
まず、残業が多いなど時間的な制約がある場合、休日に共同で家事を分担することから始めるのが効果的です。こうすることで、家事が早く終わり、夫婦で過ごせる時間が生まれます。
また、家事の効率化を図るため、便利な家電製品の利用も検討しましょう。たとえば、乾燥機付き洗濯機や食器洗い乾燥機を使えば、手間のかかる作業を省略できます。掃除ロボットの活用も一考の価値があります。
家事分担においては、完璧を求めずに、お互いのできる範囲で協力することが大切です。家事が難しい場合は、ミールキットなどの時短商品や家事支援サービスを利用して家事負担を軽減しましょう。
まとめ
夫婦間での協力は円満な関係を維持する上で欠かせません。家事分担はこの協力の具体的な表れであり、一方の負担が大きいと感じられる場合、話し合いを通じてルールや分担を明確にすることが大切です。
家事分担は慣れるまで時間がかかることもありますが、コツを掴むことで効率的に家事ができるようになります。また、お互いへの感謝の気持ちを忘れずに接することで、家事がよりスムーズに進むでしょう。完璧を求めず、相手への思いやりを持つことが長く家事分担を続ける秘訣です。
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