母子家庭で住民税が引かれた!非課税になるかの確認方法やメリット・デメリットについて解説します

子育て

母子家庭はさまざまな控除が受けられることから、住民税も非課税なのかと思う人もいるのではないでしょうか。しかし実際は全ての母子家庭世帯が住民税の非課税になるわけではなく、所得や扶養家族数などで総合的に判断されます。

この記事では、非課税世帯に該当するかの確認方法や、母子家庭で住民税非課税世帯に該当するメリット・デメリットなどを解説します。

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母子家庭でも住民税は引かれる?

母子家庭でも住民税は他の世帯と同様、支払う必要があります。

しかし世帯所得が低い母子家庭の場合、住民税負担が少ない・非課税になりやすいよう、制度設計がされています。住民税が非課税になる条件は以下の通りです。

  • 生活保護を受けている
  • ひとり親、障がい者、寡婦、未成年者であり、前年所得合計金額が135万円以下(給与所得の場合204万3,999円以下)

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ひとり親と寡婦は違うの?

ひとり親と寡婦はそれぞれ控除が受けられますが、以下のように条件が定められています。

ひとり親控除寡婦控除
対象者以下3つの条件いずれも該当する人
  • 婚姻関係・事実婚関係がない
  • 生計をともにしている子がいること(子の総所得金額等は48万円以下)
  • 世帯所得の合計が500万円以下
以下どちらかの条件に該当し、かつ世帯所得の合計が500万円以下の人
  • 夫と離婚後に婚姻関係を結んでおらず扶養親族がいる
  • 夫と死別もしくは/夫の生死が明らかでない(扶養親族の有無は問われません)
受けられる控除35万円の所得控除27万円の所得控除

また、ひとり親控除と寡婦控除は重複しても、控除額が大きいひとり親控除が優先されます。

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母子家庭の住民税が非課税になる2つの条件

母子家庭の住民税が非課税になる条件には、以下の2つが挙げられます。

  1. 所得金額が135万円未満
  2. 世帯合計の所得割額・均等割額が非課税

ここではそれぞれに分けて解説します。

1.所得金額が135万円未満

合計所得金額(*)が135万円以下かつひとり親の場合、所得割額と均等割額がともにかからず、住民税は非課税となります。

複数の所得がある場合、それぞれの所得の合計で判断されます。1ヶ所の勤務先から給与を受け取っている場合、額面204万3,999円以下であれば非課税対象です。

(*)合計所得金額とは、その年の1月1日から12月31日までに得た所得の合計を指します。

2.世帯全員の所得割額・均等割額が非課税

母子家庭の場合、事実婚状態にあるパートナーがいるケースも考えられます。その場合に住民税が非課税になるには、世帯の合計が所得割額・均等割額が非課税世帯に該当するかが条件になります。

以下の計算式に必要な項目を代入して求めると、条件に該当しているか判断できます。

  • 35万円×(同一生計配偶者+扶養親族数+1)+31万円

子どもが1人であれば、35万円×(1+1)+31万円=101万円となり、額面金額は156万円以下が非課税世帯となる目安です。

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住民税が非課税になるかを確認する方法

住民税が非課税になるかを確認する方法は、企業に勤めているか、自身で確定申告を行う個人事業主かによって変わります。ここでは以下の2つに分けて解説しますのでチェックしてみてください。

  • 源泉徴収を見る
  • 確定申告を確認する

源泉徴収を見る

正社員やパートなど一つの就業先から給料を得ている場合、毎年12月に行う年末調整後に受け取る源泉徴収票で所得を確認できます。母子家庭では、事実婚の相手がおらず、給与所得控除後の金額の欄が135万円以下であれば非課税となります。

もし2ヶ所の勤務先で働いている場合、給与が多い方で年末調整を受けることが一般的です。その場合は給与所得控除は給与の合計から定められた控除金額を差し引くことで決まるため、合算したうえで控除を差し引いた金額を確認しましょう。

確定申告を確認する

個人事業主や副業をしている人は、確定申告を確認します。確定申告で用いる確定申告書A・B第一表の所得金額の欄の最後にある「合計」の項目を確認しましょう。

全ての所得から基礎控除や経費を差し引きして135万円以下であれば、住民税非課税世帯となります。確定申告の制度は毎年変更があるため、詳しくは国税庁のWebサイトで公開されている情報をもとに計算してみてください。

参考:令和3年分 確定申告特集

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住民税非課税世帯の母子家庭が受けられる5つのメリット

住民税非課税世帯の母子家庭は、さまざまな公的扶助が受けられます。代表的な扶助には以下の5つが挙げられます。

  1. 国民健康保険・年金の減免
  2. 高額医療費制度の自己負担軽減
  3. 2歳までの保育料が免除
  4. 高等教育無償化
  5. 介護保険料の軽減

ここではそれぞれに分けて解説しますので、見ていきましょう。

1.国民健康保険・年金の減免

国民健康保険・年金の減免や納付猶予などが受けられます。国民健康保険料の減免は世帯の総所得金額に応じて、以下の通り負担割合が変わります。

  • 33万円以下なら7割、
  • 33万円+28万5,000円×加入者数以下なら5割
  • 33万円+52万円×加入者数以下なら2割

また、年金は前年所得が「(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円」以下だと免除されます。

もし収入が上記の条件より超えた場合でも、母子家庭は一部減額される仕組みになっています。

2.高額医療費制度の自己負担軽減

高額療養費で定められている1ヶ月の自己負担限度額は、所得・年齢によって異なります。

70歳未満の非課税世帯の場合、負担する医療費の限度額は3万5,400円/月です。

月収455,000〜485,000円の世帯の場合、高額医療費の自己負担額は87,430円/月となり、母子家庭かつ非課税世帯だと半額以下の負担で済みます。

参考:高額な医療費を支払ったとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会

3.2歳までの保育料が免除

2019年10月から行われている幼稚園や保育所の無償化は、通常の場合3歳から5歳の子どもに限定されています。しかし住民税の非課税世帯であれば、0歳から2歳までの子どもも保育料免除の対象となります。

大阪市の保育料を参考にすると、大阪市では月収ごとに保育料が区分されています。169,000〜211,201円未満の所得金額の場合、45,100円もしくは22,550円の保育料が必要です。

参考:令和 3年度 保育施設等の保育料のお知らせ

4.高等教育の学費減免

住民税の非課税世帯に該当すると、大学や短期大学、専門学校や高等専門学校の学費が減免されます。特に入学先が国立大学であれば、入学金や授業料の大部分が軽減されることになります。

高等教育で必要な費用には、入学金282,000円や授業料535,800円などが挙げられます。こうした費用の大部分を給付型奨学金の制度を利用して賄えます。

5.介護保険料の軽減

40歳以上の国民全員が加入する介護保険は、40歳になった時点で医療保険の中に介護保険料が加算されます。保険料の額は収入をもとに決められており、住民税非課税である世帯の場合、金額の大部分が軽減されます。

住民税非課税世帯の場合は第2所得段階に該当し、介護保険料は年額24,500円です。保険料を納めることが難しい場合は、保険料の減免や猶予が受けられます。

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母子家庭が非課税世帯になる3つのデメリット

母子家庭が非課税世帯になるデメリットには、以下の3つが挙げられます。

  1. 子どもが扶養から外れると非課税の対象外となる可能性がある
  2. 2.年金受給額が減る
  3. 3.収入を増やしにくい

ここではそれぞれに分けて解説します。

1.子どもが扶養から外れると非課税の対象外となる可能性がある

住民税非課税は、完全非課税と所得割額だけ非課税の2種類があります。住民税の計上では子どもの人数も判定材料となるため、子どもが就職などで自立し、扶養から外れると非課税世帯でなくなる可能性があります。

その場合は、子どもの扶養に入る・世帯分離など状況に応じて対応策を検討しましょう。

2.年金受給額が減る

母子家庭で住民税非課税世帯だと、年金支払いの減免や猶予が受けられます。しかし、収める金額が減ることは、将来受け取れる年金が減ることにつながります。

年金の支払いを全額免除した場合、受け取れる年金は満額の半分程度とされています。支払わなければ未納と同じ扱いを受け、追納期間に納付しなければ将来の年金が減額されることを理解しておきましょう。

3.収入を増やしにくい

非課税世帯はさまざまな公的扶助が充実しています。しかし、制度のメリットに慣れてしまうとたくさん稼ぐ気持ちになれないかもしれません。

その結果、スキルアップや転職に目が向かなくなり、収入を増やしにくい可能性があります。

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まとめ

この記事では、母子家庭が住民税非課税世帯となる基準や確認すべき項目、メリットなどを解説しました。母子家庭で住民税の非課税世帯となるには、前年所得や扶養している子どもの人数などの要件を満たす必要があります。ポイントを理解して制度を活用できるように備えてみてはいかがでしょうか。

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