子育てと家事を1人でこなすことを「ワンオペ育児」と呼びますが、ワンオペ育児で日々頑張っているママはたくさんいるでしょう。
この記事ではワンオペ育児の根本的な原因から負担に感じやすいこと、乗り越えるためのコツについてご紹介します。1人で家事・育児をしていることが多いと感じる人は、ぜひチェックしてみてください。
ワンオペ育児とは?
ワンオペ育児とは、夫婦どちらかが1人きりで育児や育児を担っている状態のことを指します。
たとえば、父親が長時間労働している世帯などでは、子どもと母親のみで過ごす時間が必然的に多くなります。
このような状態が日常的に続いている場合は、ワンオペ育児をしていると考えられるでしょう。
そもそも「ワンオペ」とは、飲食店などで1人だけで働く時間やシフトなどを指しています。その過酷な労働環境を育児にも当てはめ「ワンオペ育児」と呼ばれるようになりました。
現在でも、テレビメディアやSNSなどでも見かける機会が多く「ワンオペ育児」という言葉が定着しています。
夫と妻の家事・育児負担割合を知るデータとして、総務省統計局が公表している平成28年社会生活基本調査では、「末子が6歳未満の家庭家事関連時間」で夫と妻の家事・育児負担割合を以下の通り示しています。
家事関連時間(1週間) | 育児時間(1週間) | |
夫 | 1時間23分 | 49分 |
妻 | 7時間34分 | 3時間45分 |
上記の通り、夫より妻の方が家事は6倍強、育児は4倍の負担が担っていることがわかります。
最近では、男性も家事育児に参画する風潮がありますが、まだまだ女性の負担が大きいのが現状です。
ワンオペ育児となりがちな4つの原因
ワンオペ育児となりがちな原因には、以下の4つが挙げられます。
- 頼れる人が身近にいない
- パートナーが協力してくれない
- パートナーが不在
- シングル世帯
人によって置かれた状況は大きく異なりますが、必然的にワンオペ状態に陥っている人は少なくありません。ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.頼れる人が身近にいない
自分の両親や兄弟などが遠方に住んでおり、頼れる人が身近にいない場合はワンオペ育児となりやすい傾向にあります。昔は二世代・三世代で暮らす世帯が多く、家に人がたくさんいたことから1人ひとりの負担が少なく済んでいました。
しかし核家族化が進み、多くの世帯では家事・育児負担が夫婦どちらかに集中してしまっている場合がほとんどです。特に母親にその負担がかかることが多く、悩む人も少なくありません。
2.パートナーが協力してくれない
ワンオペ育児の原因として、パートナーが協力してくれないことが挙げられます。
たとえば子どもが起き出す前から出勤し、子どもが眠る頃まで帰宅できない父親は少なくありません。このような働き方では、当然ワンオペ育児が常態化してしまうでしょう。
また、家事・育児は女性が担当するものという古い考え方から、パートナーが協力してくれない場合も考えられます。特に母親が専業主婦であれば、父親が育児に参加できる状態だったとしても、ワンオペ状態となっていることもあり得るでしょう。
3.パートナーが不在
パートナーが単身赴任などで一緒にいられない場合、必然的にワンオペ育児となります。一緒に単身赴任先へ引っ越しするのも一つの手段ですが、場所や時期の問題でできないケースもあるでしょう。
基本的にパートナーが自宅にいない場合は、常に1人で家事・育児を担う必要があり、心身ともに大きな負担を強いられます。
4.シングル世帯
シングル世帯の場合は、ワンオペで育児をこなしながら働いている人がほとんどです。
いざというときに頼れるパートナーがいないことや金銭面でのプレッシャーなど、シングル世帯特有の悩みもあるでしょう。
常にワンオペ育児をしなければならない人は、無理をしすぎないことが肝心です。「できないときはできない」と割り切って、適度に手を抜きながら家事・育児に取り組むようにしてみてください。
ワンオペ育児で負担に感じる3つのこと
ワンオペ育児で負担に感じることには、以下の3つが挙げられます。
- 孤独感
- 自分の時間を持てない
- 疲れが取れない
ここではそれぞれに分けて負担に感じることを解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.孤独感
ワンオペ育児で負担と感じがちなことの一つに「孤独感」が挙げられます。専業主婦の人は特に、孤独を感じやすいかもしれません。
家事・育児を毎日のように繰り返し、誰にも褒めてもらえず、労いの言葉もかけてもらえなければ、より一層孤独感を覚えやすいでしょう。
パートナーと話す時間がない・周囲に友だちや親しい人がいない場合は、孤独に感じやすい状況に置かれているといえます。
2.自分の時間を持てない
子どもが小さい頃のワンオペ育児は、ほとんど自分の時間を持てないでしょう。夜泣きやおむつの交換、授乳など、すべて子どもが求める時間に対応する必要があります。
もちろん、自分の子どもですし、ずっと一緒にいられるのは幸せなことです。しかし、何をするにも子ども中心になり、自分のペースで家事を進められない・ほっと気を抜く時間が持てなければ大きな負担を感じてしまいます。
3.疲れが取れない
育児をしていると、夜泣きの対応や子どもが眠っている間に家事をこなすことが常態化している場合もあるでしょう。
そうなると睡眠不足になりやすく、疲労もどんどん蓄積していきます。疲労は蓄積するほど解消するのに時間がかかるため、いつ何時でも「疲れている」「寝ても寝足りない」と感じることが増えやすいでしょう。
ワンオペ育児を乗り越える5つのコツ
ワンオペ育児を乗り越えるコツには、5つのことが挙げられます。
- パートナーと話し合う
- 完璧主義をやめる
- 役割分担を決める
- 自分の時間を作る
- シッターサービスなどを利用する
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.パートナーと話し合う
お互いに忙しくて話す時間が少ないとしても、パートナーと少しでもいいので話し合うことが大切です。
育児の話をする場合は「何に悩んでいるのか、どうやって助けて欲しいのか」などを、具体的に伝えるように心がけましょう。夫婦だとしても言葉にしなければ伝わりません。
また、攻めるような話し方は、相手の心を閉ざしやすいでしょう。育児・仕事どちらもフィールドは異なりますが、どちらも大変です。お互いが歩み寄れるように、感謝や労いの言葉から伝えるように意識しましょう。
2.完璧主義をやめる
家事・育児に終わりはありません。そのため、どこまでも完璧にこなすことはできないため、完璧主義はやめましょう。
片付けてもすぐに子どもが散らかしてしまいますし、食事も安全に食べられれば問題ありません。
特に保育所へ通わせている場合は、平日に一緒にいられる時間も少なく、家事に追われていることがほとんどでしょう。
なるべく一緒に過ごすことを意識して、家事は「必ずしなければならないこと」だけに絞ってやるように意識してみてください。
3.役割分担を決める
「ゴミ出し」「お風呂掃除」「寝かしつけ」は、パートナーに担当してもらうなど、役割分担をして負担が偏らないようにしましょう。もし専業主婦だとしても、家事・育児の負担を一人で背負う必要はありません。
共働きの場合は家事・育児に割ける時間には限りがあるため、毎日こなすべきタスクを洗い出し、より詳細に担当を分けておくとよいでしょう。
4.自分の時間を作る
毎日、家事育児を頑張りすぎると、心身ともに疲弊して辛くなるのは目に見えています。
意識的に一時保育などを利用して、自分の時間を作ることがおすすめです。こうして自分一人の時間を作り、買い物に出かけたり、美容室に行ったりするのもいいかもしれません。
子どもを預けることに罪悪感を覚えてしまう人もいるかもしれませんが、半日息抜きをして子どもと笑顔で接することができれば、その方が家族みんなが幸せを感じられるでしょう。
5.シッターサービスなどを利用する
ワンオペ育児の状態が続くと、1人であれこれと抱え込んでしまいがちです。しかし、頼れるものはすべて利用するくらいに思っていた方が、結果的に家庭も育児も上手く回るでしょう。
家事代行・ベビーシッターなど、あらゆるサービスが存在します。家事代行サービスは家の掃除やおかずの作り置き、買い物などをプロが時間単位で請け負ってくれ、負担を大きく軽減してくれるでしょう。
また、ベビーシッターも時間単位で子どもの面倒を見てくれるため、夫婦で出かけたり、一人の時間を過ごしたりと息抜きの時間を作れるようになります。
ワンオペ育児についてよくある3つの質問
ワンオペ育児についてよくある質問には、3つのことが挙げられます。
- どこまでがワンオペ育児ですか?
- ワンオペ育児が疲れる原因は何ですか?
- ワンオペ育児が辛く感じたときにはどこに相談すればいいですか?
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
質問1.どこまでがワンオペ育児ですか?
ワンオペ育児になるのかに明確な線引きはありません。しかし、以下の項目に複数該当する場合は、ワンオペ育児状態にあると考えられるでしょう。
- パートナーは仕事で朝早く出勤し、夜遅くまで帰らない
- 保育園の送迎はいつも自分がしている
- 子どもが病気のときは自分が病院へ連れて行く
- パートナーは休日出勤もある
- 自分1人だけで出かけることがない
- 実家の協力を得られない
- パートナーは飲み会に参加することが多い
- 子どもがパートナーになついていない
- パートナーは趣味が多い
- 自分の時間をまったく持てない
心身ともに大きな負担を感じる前にパートナーと話し合う・公的機関に相談するようにしてください。
質問2.ワンオペ育児が疲れる原因は何ですか?
ワンオペ育児が疲れる原因の一つに、「1人の時間を持てないこと」が挙げられます。
「常に子どもと一緒にいる・相談できる相手がいない・ストレス発散できる時間がない」など、これらはいずれも1人の時間を持てないことが根本にあります。
子育ては1人でするものではありません。まずは身近なパートナーに相談したり、話を聞いてもらったりすることから始めましょう。
それが難しければ、自分の両親や周囲の人に助けを求めてみてください。子育てがしんどいのは当然のことです。助けを求めることは何も恥ずかしいことではありません。
質問3.ワンオペ育児がつらいと感じたときはどこに相談すればいいですか?
ワンオペ育児がつらいと感じたときに、周囲に頼れる人がいない場合もあるでしょう。そんな人のために自治体や国がたくさんの窓口を設けています。遠慮せずに電話して相談しましょう。
- 児童相談所
TEL: 189 (全国共通ダイヤル)
時間:毎日24時間
- 子どもの人権110番
TEL:0120-007-110
時間:月〜金 8:30〜17:15
- 子どもと家族の相談窓口
Eメール:kodomotokazoku@jamhsw.or.jp
時間: 毎日24時間
日本精神保健福祉士協会|子どもと家族の相談窓口(Eメール対応)|
- 日本助産師会相談窓口
TEL:03-3866-3072(通話無料)
時間:火 10:00〜16:00
※来所/訪問相談できる都道府県もある。
- こども医療電話相談
TEL:#8000(全国共通)
時間:都道府県による
まとめ
ワンオペ育児の原因や乗り切る方法について紹介しました。最近では夫婦揃って家事育児を行う風潮がありますが、まだまだ夫婦どちらか、特に母親の負担が大きいことを否定できません。
毎日、お互い忙しい時間を過ごしていますが、感謝と労いの言葉を伝えることから始めてみましょう。そこからお互いにどのようなことを考えているのかを共有し、助け合える体制を整えてみてください。
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